世界の名ボクサー:レイ・マンシーニ①「ボクシングの歴史を変えた男」

WBA世界ライト級王者。世界王座に挑戦。ホルヘ・モラレス戦、ホセ・ルイス・ラミレス戦、アレクシス・アルゲリョ戦、アルツロ・フライアス戦ほかを紹介します。

レイ・マンシーニ(アメリカ)
身長164cm:オーソドックス(右構え)

①レイ・マンシーニ 10R TKO ホルヘ・モラレス
(北米ライト級タイトル戦、1981年)
(感想:マンシーニがタイトル獲得。オハイオ州ヤングスタウン出身の白人マンシーニ(イタリア系アメリカ人)は「親子ボクサー」。父レニーは世界ライト級1位にまで登り詰めたが、第二次大戦で負傷のため世界王座挑戦は叶わず。息子のレイが「後を継ぐ」ような形でボクサーに。アマチュアで活躍後、プロへ。スタイルは「突貫ファイター」タイプ。ニックネームは「Boom Boom」(ブンブンとパンチを振るって攻めるイメージ。レニーのニックネームも「Boom Boom」だった)。打たれてもそれ以上に打ち返す好戦的なパターンでこれまで18戦全勝(14KO)、20歳。そのファイトぶりにTV局も注目。トレーナーのマーフィー・グリフィスに言わせるとマンシーニは「小さいロッキー・マルシアノ」だそうだ。王者モラレス(23歳)はプエルトリカンで27勝(16KO)5敗1分1NC。ロサンゼルスでデビューし、ラスベガスが主戦場。ブルース・カリーに判定負け、リロイ・ヘイリーとノーコンテスト、ネバダ州王座(ライト級)獲得、三連敗、TKOで北米王座(ライト級)獲得。このところ連勝中。ニューヨーク州キアメシャ・レイクでの一戦(レフェリーはアーサー・マーカンテ。会場でマンシーニの父レニーが観戦)。共に機敏な動きでダッキング、ジャブ、右ストレート、フック。マンシーニは右ストレート、左ボディフック、モラレスは左フックに特に威力。接近戦。互いにワンツー、フック。手数が多いハイペースな打撃戦が続く。右ストレートからの左フック、ショート連打でひたすら攻めるマンシーニ。モラレスは応戦するが押されるシーンが目立つようになり、左目が腫れていく。9R終了後、モラレスが棄権。マンシーニが攻めの姿勢で押し切って勝利(試合後のインタビュー、マンシーニ「世界タイトルは父に贈る。このタイトル(北米王座)は自分のために取っておく」と語った)。豊富なスタミナ、タフネスがあった。モラレスは左フックが良かったが、距離を詰められて効果を発揮できなかった印象。その後、意外なことにモラレスはすっかり「かませ犬」のような存在に。ホセ・ルイス・ラミレス、ジミー・ポール、ダリル・タイソンらを相手に連敗してキャリアを終えた。)

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