世界の名ボクサー:ジョージ・フォアマン④「巨象&戦う牧師」

70年代の世界ヘビー級王者。80年代に10年ぶりにカムバック。スチーブ・ゾースキー戦、ロッキー・セコースキー戦、ドワイト・ムハマド・カウィ戦ほかを紹介します。

ジョージ・フォアマン(アメリカ)
身長192cm:オーソドックス(右構え)

①ジョージ・フォアマン 4R TKO スチーブ・ゾースキー
(ヘビー級戦、1987年)
(感想:1974年、ザイールのキンシャサで元王者モハメド・アリにKOされて世界王座を失ったフォアマン。アリ戦後もリングに上がったが集中力を欠き、全てが終わったかのような状態に。引退したが牧師としての活動資金を得るため、10年ぶりにカムバック。「毎朝10キロ以上走っている」というが、コンディションが気になるところ。ゾースキーはウィスコンシン州出身の白人。身長は183cmでフォアマンより小さい。既にベテランの域に入っており、このところ負けが込んでいる状況。マービス・フレージャー、トニー・タッブス、マイク・タイソンに敗北したことがある。サクラメント「アルコアリーナ」での一戦。スキンヘッドのフォアマン。カムバック後は「太った」と言われることが多いが、意外にスリムで鍛えた身体。中年のボディビルダーのよう。赤いトランクスを着用。ブロックしながらジャブで相手にプレッシャーを掛ける。動きは速くないが、パンチには速さと重さがある。ゾースキーは距離を取ってジャブ。しかし、押され気味。ジャブに正確さがあるフォアマン。右ストレートからの左フック、右フックにパワー。4R、右ストレートを決めたゾースキーだが、当たりが浅い。逆にフォアマンが強烈な左フック。レフェリーに「試合を止めろ」とアピールをするフォアマン。ゾースキーが右フックからの左フックを食ったところで試合ストップ。フォアマンが快勝。普通、ブランク後のカムバック戦というのは動きにキレが無かったり、身体が絞れていなかったりすることが多いが、フォアマンの場合はそうではなかった。ヘビー級選手は元々そんなにスピーディに動くものではないため、大柄で鍛え直したフォアマンは特に不利ということはなかった。ゾースキーはその後もリングに上がり続けたが、トミー・モリソンに敗れるなど王座戦を経験することなくキャリアを終えた。)

ここから先は

2,919字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?