世界の名ボクサー:ロジャー・メイウェザー④「黒い毒蛇」

世界二階級制覇王者。ライト級での苦戦&二階級制覇。パーネル・ウィテカー戦、レネ・アルレドンド戦、マウリシオ・アセベス戦、ハロルド・ブレージャー戦ほかを紹介します。

ロジャー・メイウェザー(アメリカ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)

①パーネル・ウィテカー 12R 判定 ロジャー・メイウェザー
(北米ライト級王座決定戦、1987年)
(ダウンシーン)
1R:左フックでメイウェザーがダウン
9R:右ストレートでウィテカーがダウン
(感想:ウィテカーがタイトル獲得。「ブラックマンバ(毒ヘビ)」メイウェザーが注目のホープと対戦(87年初試合、3月)。ウィテカーはバージニア州ノーフォーク出身の黒人サウスポー。ニックネームは「スウィートピー」(「ピー(豆)のように小粒だが、素晴らしい動きをする選手」の意)。幼い頃からボクシングを始め、ロス五輪(1984年)ではライト級金メダル。プロデビュー戦はニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」。その日はメダリストが勢揃いでデビューした華やかな舞台となり、金メダリストのマーク・ブリーランド、メルドリック・テーラー、タイレル・ビッグス、ウィテカー、銀メダリストのバージル・ヒル、銅メダリストのイベンダー・ホリフィールドらが登場(ヘビー級のビッグス以外は後に世界王者になった)。以後、連勝。直前の試合では元WBA世界J・ライト級王者アルフレド・ライネ(パナマ)を判定で下している。ウィテカーの地元ノーフォークでの一戦(ウィテカーのセコンドに「狂犬」ルー・デュバ。ロッキー・ロックリッジ戦、後、ビニー・パジェンザ戦でメイウェザーと因縁。会場ではイベンダー・ホリフィールドが観戦)。1R、足のスタンスを広く取ってメイウェザーが、長いジャブ、右ストレート(まるで蛇が獲物を狙うかのようなまさにブラックマンバらしいパンチ)。ウィテカーはヘッドスリップ、ブロックでディフェンスしながらジャブ、ワンツー。ラウンド終了間際、右フック&左フックでメイウェザーがダウン。立ったがダメージ深く、ラウンド終了後にコーナーを間違える。2Rにハプニング。クリンチをほどこうとしたレフェリーにウィテカーの左フックがヒット(1Rにメイウェザーはそのパンチで倒れたが、レフェリーは倒れなかった。選手より強くないとレフェリーは務まらない)。その後、ジャブの打ち合いでウィテカー優勢。接近戦ではボディの打ち合い。最初は互角だったが、次第にパワーで接近戦でもウィテカー優勢。9Rにもハプニング。トランクスのズレを直そうとしたメイウェザーにウィテカーが実に踏み込みの速いジャブ。そして、メイウェザー必殺の右ストレートがヒット。足に来たウィテカーが追撃の右ストレートでダウン。その後はウィテカー。11Rには強烈な左ストレートでKO勝ち寸前に。判定は3-0。ウィテカーがテクニック&パワーで初の王座獲得。ジャブの打ち合い、接近戦。世界戦のようなハイレベルな好試合だった。この試合を会場で観たファンは大満足だったのでは? その後のウィテカー。世界ライト、J・ウェルター、ウェルター、J・ミドル級王座を獲得して四階級制覇。メイウェザーに圧勝したフリオ・セサール・チャベス相手に分のいい引き分けを演じた。)

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