世界の名ボクサー:ウィルフレド・ベニテス①「史上最年少の世界王者」

世界三階級制覇王者。17歳で初の世界王座。世界王者になる前の試合&世界戦。ローレンス・ハーフェイ戦、アントニオ・セルバンテス戦、トニー・ペトロネリ戦ほかを紹介します。

ウィルフレド・ベニテス(プエルトリコ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

①ウィルフレド・ベニテス 8R 判定 ローレンス・ハーフェイ
(ウェルター級戦、1974年)
(感想:史上最年少「17歳5か月」で世界王座を獲得したプエルトリコの天才、ベニテス。1958年9月12日、ニューヨーク・ブロンクス生まれのプエルトリコ系。兄弟もボクサーだった「ボクシング一家」。ニックネームは「The Radar」(「相手の攻撃を察知してかわす天性のテクニック」を持っていることからそう呼ばれるようになったらしい)。5歳でボクシングを習い(父の指導。あのエステバン・デ・ヘスス(プエルトリコ。ガッツ石松を破ってWBC世界ライト級王者に)も同じようにベニテスの父の指導を受けた)、1973年に15歳でプロ入り(年齢を偽ってプロになった)。連戦連勝。17歳で世界初挑戦、快挙。まさに「天才」だが、本人によると「ボクシングは好きではない。父を喜ばせるためにやっている」。ハーフェイ戦は世界王者になる前の試合で、プロ14戦目(74年最後の試合、12月)。ハーフェイはカナダの白人。デビュー戦は判定負け。連勝したときもあったが、カナダ王座戦(ライト級)で判定負け。このところ連勝中。ニューヨークでの一戦(レフェリーはアーサー・マーカンテ)。リズミカルなフットワークで距離を取るベニテス。ジャブ、ワンツー、左フック。接近戦での打ち合いを避け、ボディ打ち、クリンチ。左フックをダブルで打ち込むバランスの良さもある。ハーフェイはジャブが少な目。接近して左フックを狙うがミスショットが多く、ボディを攻めようとする。全般的にベニテスのアウトボクシングが優勢。ハーフェイはガチャガチャ攻めるタイプで、ディフェンスに甘さ。8R終了。判定は3-0。ベニテスがジャブ、相手の隙を突くパンチで勝利。「若いベニテスが勝ち続けることができた理由」を物語っていた試合。打ち合いを避けてジャブを使うアウトボクシング。エキサイティングな試合ぶりではない。そのパターンで「ボクシングの本場」アメリカで人気が出るかどうか? ハーフェイは雑な試合ぶり。「安定して勝ち続けることができない原因」を証明しているような動きだった。その後、ハーフェイはカナダ王座(ミドル級)獲得。しかし、初防衛ならず。カナダの実力者にとどまった。)

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