世界の名ボクサー:ジョー・フレージャー④「人間蒸気機関車」

世界ヘビー級王者。世界王座防衛戦&惨劇。テリー・ダニエルズ戦、ロン・スタンダー戦、ジョージ・フォアマン戦、ジョー・バグナー戦、モハメド・アリ戦(再戦)を紹介します。

ジョー・フレージャー(アメリカ)
身長182cm:オーソドックス(右構え)

①ジョー・フレージャー 4R TKO テリー・ダニエルズ
(世界ヘビー級タイトル戦、1972年)
(ダウンシーン)
1R:左フックでダニエルズがダウン
3R:左フックで2度、ダニエルズがダウン
4R:左フック、連打で2度、ダニエルズがダウン
(感想:フレージャーがタイトル防衛。前回の防衛戦でモハメド・アリを下し、未だ全勝のフレージャー(28歳)。三度目の防衛戦。挑戦者ダニエルズ(25歳)はオハイオ州出身の白人。元々はフットボールをやっていたが、ヒザの故障で断念。プロ入り後の戦績は悪くはないが、ピークを過ぎたフロイド・パターソンに判定負け。テッド・ガリックなる当時、高く評価されていた選手をKOしてフレージャーに挑戦するチャンスを得た。ニューオリンズでの一戦。ゴング前、ジョージ・フォアマンといったボクシング界の人物がリング上で挨拶。試合開始。なかなか良いダニエルズ。フットワークを使って距離を取りながらジャブ、ワンツー、左フック。しかしながら、フレージャーが得意の左フックを1Rから当て、ジャブも速くて強い。左フックでダニエルズが前のめりにダウン。ダメージがありそうだが、ゴングに救われる。2R、右ストレート、左フックに強さがあるダニエルズだが、フレージャーの猛攻に押される。3R、左フックでダニエルズが二度ダウン。足に来ているが、またしてもゴングに救われる。4R、左フックでダニエルズが前のめりにダウン。立ったが連打でダウン。ここでようやくレフェリーは試合を止めた。フレージャーが得意パンチで圧勝。しかしながら、不思議なのがフレージャーの左フック。「フレージャー」と言えば「左フック」。対戦相手もそのことをよく知ったうえでリングに上がっているはず。それなのにフレージャーの左フックは実によく当たる。「ディフェンス不可能」な武器のようだ。その後のダニエルズは負けが多い(クリーブランド・ウィリアムスなどに敗北)。ラストファイトは1981年で、アルフレド・エバンヘリスタにKO負け。長く戦い続けた代償として引退後は現役時代のダメージに苦しんだという。)

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