世界の名ボクサー:ロジャー・メイウェザー⑤「黒い毒蛇」

世界二階級制覇王者。世界J・ウェルター級王座戦。ビニー・パジェンサ戦、フリオ・セサール・チャベス戦(再戦)、ラファエル・ピネダ戦ほかを紹介します。

ロジャー・メイウェザー(アメリカ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)

①ロジャー・メイウェザー 12R 判定 ビニー・パジェンサ
(WBC世界J・ウェルター級タイトル戦、1988年)
(ダウンシーン)
11R:右アッパーでパジェンサがダウン
(感想:メイウェザーがタイトル防衛。ロドルフォ・ガト・ゴンザレス(メキシコ)をTKOで下して三度目の防衛に成功したメイウェザー。四度目の相手はタフな白人。挑戦者パジェンサはロードアイランド州出身。子供の頃からスポーツ好きで7歳の時にボクシングを始める。本格的にボクシングに打ち込むキッカケとなったのは映画『ロッキー』(パジェンザはイタリアの血も入っているとか)。アマチュアで優秀な成績(タイトルを獲得したことも)。プロ入り。好戦的な姿勢、ジャブからの右ストレート、左右フック連打を武器に連勝。グレグ・ホーゲンからIBF世界ライト級王座を奪取したが、リターンマッチに敗れて初防衛ならず。再起二連続TKO勝ちでこの二階級制覇チャレンジ。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(「ドニー・ラロンデ vs. シュガー・レイ・レナード」の前座カード。会場にはモハメド・アリ、シルベスター・スタローン、ウーピー・ゴールドバーグ、チャック・ノリスといったスターが勢揃い)。ボクサー型のメイウェザー、ファイター型のパジェンサ。対照的な二人。パジェンサにはルー・デュバがセコンドに付く。ゴング。メイウェザーが長いジャブ・ストレート、パジェンサは回転の速い連打。攻めるパジェンサだが、ディフェンスされてかわされてしまう。11R、この試合、最大の見せ場。絶妙な右アッパーでパジェンサがダウン。最終ラウンド終了。判定は3-0。メイウェザーがテクニックで勝利。パジェンサのようなしぶといタイプは突き放す戦い方が正解。狙い通りの勝利だったのではないか? パジェンサは一発で相手を倒すようなタイプではない。打ち合ってくれないタイプには弱いところがある。試合自体が淡々とした感じだったため、2R終了時にメイウェザーがパジェンサを突き飛ばしてニラみ合ったり、最終ラウンド終了時にルー・デュバが暴れて負傷するなど妙なエキサイトが余計目立った。その後もパジェンサは苦難。ヘクター・カマチョのWBO世界J・ウェルター級王座に挑戦して失敗。ロレト・ガルサのWBA世界J・ウェルター級王座に挑戦したときはエキサイトして反則負け。そして、ジルベール・デレをTKOで下してWBA世界J・ミドル級王座獲得、二階級制覇。しかし、この男はどこかツイていない。交通事故で首を骨折。防衛戦を行うことなくWBA王座返上。本来なら再起不能なところカムバック。マイナー王座を懸けてロベルト・デュランと対戦したり、ロイ・ジョーンズ・ジュニアのIBF世界スーパーミドル級王座に挑戦してTKO負けしたり。戦うのを楽しむがごとく2004年までリングに上がり続けた。)

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