世界の名ボクサー:ウィルフレド・ベニテス③「史上最年少の世界王者」

世界三階級制覇王者。重要な試合&三階級制覇。シュガー・レイ・レナード戦、トニー・チャベリーニ戦、モーリス・ホープ戦、ロベルト・デュラン戦ほかを紹介します。

ウィルフレド・ベニテス(プエルトリコ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

①シュガー・レイ・レナード 15R TKO ウィルフレド・ベニテス
(WBC世界ウェルター級タイトル戦、1979年)
(ダウンシーン)
3R:左ジャブでベニテスがダウン
15R:左フックでベニテスがダウン
(感想:レナードがタイトル獲得。二階級制覇王者ベニテス。かつて引き分けたハロルド・ウェストンと初防衛戦を地元サンファンで行い、3-0の判定勝ち。二度目の防衛戦(プロ40戦目)の相手は「スーパースター候補」。挑戦者レナードはサウスカロライナ州ウイミルトン出身の黒人。ボクサーとしてはこれまで完璧。モントリオール・オリンピック(1976年)に出場し、ライトウェルター級で金メダル(レオン&マイケルのスピンクス兄弟、ハワード・デービス、レオ・ランドルフも金メダル。アマチュアボクシングが熱い時期だった)。ボクシングはアマチュアで辞めるつもりだったが、親が病気に。さらに、結婚はしていないが幼い息子がいるといった事情もあり、家族を支えるためプロ入り。これまで26戦全勝、初の世界挑戦。マネージャーはあのアンジェロ・ダンディ(モハメド・アリのトレーナー)。アリに代わる「新しいスター」を求めるボクシング界にとってレナードは「貴重な財産」。えこひいきがあってはならないが、アメリカボクシング界としてはレナードに是非とも勝ってもらいたい状況。ラスベガス「シーザース・パレス」で行われた天才同士の対決。共にボクサータイプで似たような戦い方。体格、構え方も似ている。速いジャブの交換。レナードはジャブ、ストレートにキレがあり、フックは振りは大きめだが力強い。3R、タイミングのいい左ジャブでベニテスがダウン。パワーで勝るレナード。ディフェンスが巧いはずのベニテスが逆にディフェンスされて上手くパンチを当てることができない。15R、打ち合いからの左フックでベニテスがダウン。立ったが、連打されてレフェリーストップ。似たような選手同士の試合では何かが優れている方が勝つ。レナードの方がパワー、ディフェンスで優れていた。その後、レナードは実力と人気でトップ中のトップに。しかし、網膜剥離で引退。カムバックしてはまたブランクを作る、といったキャリア。強引に五階級制覇を達成したが、最後はテリー・ノリス、ヘクター・カマチョに二連敗して寂しくリングを去った。)

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