世界の名ボクサー:ジェフ・チャンドラー②「スラム街出身の黒人バンタム級」

WBA世界バンタム級王者。世界挑戦&防衛戦。フリアン・ソリス戦(初戦・再戦)、ホルヘ・ルハン戦、村田英次郎戦(初戦・再戦)、ジョニー・カーター戦ほかを紹介します。

ジェフ・チャンドラー(アメリカ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

①ジェフ・チャンドラー 14R TKO フリアン・ソリス
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1980年)
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでソリスがダウン
(感想:チャンドラーがタイトル獲得。アンドレス・エルナンデス戦後、二連続KO勝ちのチャンドラー。「WBA7位」としてプロ25戦目で初の世界挑戦。王者ソリスはプエルトリカン。これまで全勝。WBCの地域王座を獲得してフリオ・ソト・ソラノ(後、渡辺二郎のWBC世界J・バンタム級王座に挑戦して判定負け)を相手に防衛成功。日本でもおなじみのホルヘ・ルハンを2-1で下してWBA王座獲得。チャンドラー戦は初防衛戦となる。マイアミでの一戦(リングサイドにチャンドラーの母、女マネージャーのベッキー・オニール)。足を使うソリス。パンチがシャープで左フックには伸びがある。また、「右ストレートからの左ジャブ」といったテクニックもある。ジャブで王者を追うチャンドラー。1R終了間際、右ストレートでソリスからダウンを奪う。その後も受け身のソリス。王者らしい攻めを見せず、攻められてはクリンチ、ホールド。時折意表を突くかのように連打するが、単発でディフェンスされてしまう。チャンドラーがジャブ、連打(ワンツーからのフックなど)で優勢。14R、左フックを決めたチャンドラー。ロープ際でソリスを連打したところでレフェリーストップ。大喜びのチャンドラー陣営。開始から攻めの姿勢で勝利。動きとパンチにキレがあった。しかしながら、ソリス。まるで相手を怖がっているかのような試合ぶり。どちらが王者かわからない内容だった。後、両者は立場を入れ替えて再戦。)

②ジェフ・チャンドラー 15R 判定 ホルヘ・ルハン
(WBA世界バンタム級タイトル戦、1981年)
(感想:チャンドラーがタイトル初防衛。これまで24勝(12KO)1分のチャンドラーが元王者と初防衛戦(81年初試合)。22勝(14KO)3敗の挑戦者ルハンはパナマのテクニシャン。あのアルフォンソ・サモラを番狂わせでKOしてWBA王者に。実力者アルバート・ダビラ、日本で磯上修一を下して五度の防衛に成功。しかし、六度目の防衛戦でフリアン・ソリスに判定負け、王座陥落。その再起戦で、ソリスを破ったチャンドラーに挑戦。王座奪回なるか?   チャンドラーの地元フィラデルフィアでの一戦。チャンドラーが速いジャブ、伸びる右ストレート、力強いフック。ルハンは距離を取って相手の様子をチェック。そして接近して右ストレート、左フック。左のテクニックと思い切りの良さがある。互いにディフェンス。接近戦ではフック連打。6Rに右ストレートをヒットさせるなど、中間距離ではチャンドラーが優勢か? ブロックされるシーンも多いが、ルハンの右ストレート、左フックも悪くない。15R終了。判定は3-0。互角の勝負だったが、チャンドラーが勢い、長いパンチで勝利。ルハンはチャンレンジャーにしてはやや受け身だった印象。その分、ポイントを取られたのがもったいなかった。その後、ルハンはセルヒオ・パルマ(WBA世界J・フェザー級王座戦)、ルペ・ピントールらに連敗。連勝後、エウセビオ・ペドロサのWBA世界フェザー級王座に挑戦して判定負け。再起戦にも敗れて引退。磯上戦が世界戦での最後の勝利となった。)

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