世界の名ボクサー:ヘクター・カマチョ⑤「スピードで勝負のマチョマン」

90年代も戦う人気者。物議を醸したWBO戦&注目の大一番。グレグ・ホーゲン戦(初戦・再戦)、フリオ・セサール・チャベス戦、トミー・アレキサンダー戦ほかを紹介します。

ヘクター・カマチョ(プエルトリコ)
身長169cm:サウスポー

①グレグ・ホーゲン 12R 判定 ヘクター・カマチョ
(WBO世界J・ウェルター級タイトル戦、1991年)
(ダウンシーン)
3R:右フックでホーゲンがダウン
(感想:ホーゲンが二階級制覇。これまで全勝のカマチョ。40戦目は新興団体WBOのタイトルを懸けた三度目の防衛戦。挑戦者ホーゲンはワシントン州出身。「タフマン・コンテスト」(素人のケンカ試合。荒っぽいイベントらしい)の経験があるタフな白人ボクサー。強打者ジミー・ポールからIBF世界ライト級王座を奪ったが、初防衛戦でビニー・パジェンザに敗北。パジェンザから王座を奪回したが、今度はパーネル・ウィテカーに奪われた。その後、パジェンザとの三戦目に敗れたが二連勝して、このカマチョへの挑戦。ラスベガス「シーザース・パレス」で行われた一戦。カマチョが陸軍のコスチュームを身につけ、ベルトをぶら下げてリング入場。試合ではいつものようにフットワークを使って右ジャブ、左カウンター。3Rには右フックでダウンを奪う。ホーゲンは前に出るが、攻撃をかわされてポイントを取れていない印象。そして問題の最終12R。ラウンド開始の前にレフェリー(カルロス・パディリャ)が両選手に紳士的な態度を求めようとグローブを合わせるよう促す。ホーゲンがこれを拒否。それにイラついたカマチョが攻撃し、減点を取られる。そして12R終了。判定は2-1でホーゲン。カマチョがついに初黒星。試合後、ホーゲン「友人でもないのになぜグローブを合わせなきゃならんの?」とコメント。個人的に疑問を感じた試合。当時のWBOルールはよくわからないが、「最終ラウンド開始前の握手」は義務なのだろうか? レフェリーの指示に従わなかったのはホーゲンが先。今のJBCのルールブックによると、「最終ラウンド開始前の握手に際して加撃すること」「スポーツマンシップに反する行為をすること」は反則とされている。減点はあったが、映像ではカマチョのアウトボクシングが勝ったように見えた。)

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