世界の名ボクサー:サルバドル・サンチェス②「永遠の王者」

WBC世界フェザー級王者。実力者との世界王座防衛戦。パトリック・フォード戦、ファン・ラポルテ戦、ロベルト・カスタノン戦、ニッキー・ペレス戦を紹介します。

サルバドル・サンチェス(メキシコ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)

①サルバドル・サンチェス 15R 判定 パトリック・フォード
(WBC世界フェザー級タイトル戦、1980年)
(感想:サンチェスがタイトル防衛。これまで35勝(28KO)1敗1分のサンチェス(21歳)が三度目の防衛戦。挑戦者フォードはガイアナの選手で背が高いスラリとした体型(身長178cm)。地元を中心にリングに上がり、15戦全勝(10KO)。WBCの地域王座(フェザー級)を獲得した実績。これが初めてのアメリカでの試合となる。テキサス州サン・アントニオでの一戦。ブルーのトランクスのサンチェス。フォードは赤。左のガードを下げた構えから長いジャブ、ストレートを出すフォード。「フェザー級のトーマス・ハーンズ」といったところ。長いリーチで相手のボディを叩き、斜め下から突き刺すように打つ右ストレートが個性的。サンチェスはジャブ、ダッキングを使いながら相手の隙をうかがうが思うように攻められず、鼻から出血。長いパンチで優勢のフォード。しかしながら、この選手はハーンズのような「倒し屋」ではなくボクサータイプ。距離を詰めて打ち合いに持ち込もうとするサンチェス。中盤以降、右ストレート、左右フック連打でフォードを追い込む(10Rほか)。15R、サンチェスの右ストレート、フックでフォードのマウスピースが落下。15R終了。「勝った」とばかりに喜ぶフォード陣営だが、判定は2-0でサンチェス。ざっと見たところ前半はフォード、後半はサンチェスだったか。サンチェスがディフェンス、パンチの正確さでかろうじて勝利。フォードは長身で相手からすると「やりにくいタイプ」であったが、パワーはそこそこ。長いパンチは当たれば効果が大きいが、その分、打った後に隙ができる難点がある。フォードがパワーパンチャーでなかったことにサンチェスは助けられた形。フォードはこの再起戦でエウセビオ・ペドロサのWBA王座に挑戦したが、KO負け。世界王座を獲得することなくキャリア終了。引退後はニューヨークに住んでトレーナーをしていたが、2011年に心臓発作後の合併症により死去。55歳だった。)

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