世界の名ボクサー:ルペ・ピントール①「アステカの戦士」

WBC世界バンタム級、J・フェザー級王者。世界王者になる前の試合&世界戦。ホセ・ロサ戦、カルロス・サラテ戦、アルバート・サンドバル戦ほかを紹介します。

ルペ・ピントール(メキシコ)
身長163cm:オーソドックス(右構え)

①ルペ・ピントール 6R TKO ホセ・ロサ
(バンタム級戦、1976年)
(ダウンシーン)
5R:左フックでロサがダウン、連打でスタンディングダウン
6R:右ストレートでロサがダウン
(感想:メキシコシティ出身のピントール。本名「ホセ・グアダルーペ・ピントール・グスマン」(長い)。実家は貧しく、問題アリな家庭。路上でアイスクリームを売る日々。しかし、どこの世界にもいるのが「悪意を持つ奴」。商売の邪魔をするチンピラとケンカになったことも。自分を守るため、ついに家を出てボクサーに。憧れのボクサーはあのルーベン・オリバレス。オリバレスを指導したクーヨ・エルナンデスに入門。「控えめな性格で、非常に練習熱心な選手」という評判。アマチュアでも試合をしているが、記録に乏しい。プロデビュー後、アルバート・ダビラ(後、WBC世界バンタム級王者に)に敗北するなど、このロサ戦まで二つの敗北があるが、おおむね好調。ロサ戦はプロ19戦目の試合。ロサはプエルトリコの選手。ボビー・チャコン、アルフォンソ・サモラ、フランキー・デュアルテといった実力者に敗北している中堅どころ。フェリックス・トリニダードの父に勝利したこともあるが、ピントール戦の直前の試合ではアルバート・ダビラに判定負け。 ロサンゼルス「スポーツ・アリーナ」での一戦。ガードを固めて、足でリズムを取るピントール。慎重に相手の様子をチェックしてジャブ、ワンツー、左フック、左ボディ打ち。メキシカンらしい攻撃、パンチはシャープ。左フックでカウンターを取るなど器用さも。ロサは左が得意らしく、左ジャブ、左フック。接近戦でピントールはディフェンスの巧さを見せ、強烈な右ボディアッパー。ロープ際に相手を追い込んで連打。打たれるシーンもあるが、構わず前進。5R、左フックがカウンターで入ってロサがダウン。立ったが、連打でスタンディングダウン。6Rには右ストレートでダウン、レフェリーストップ。ストップに納得いかない表情のロサ。かなり打たれていたため、ストップは致し方ないといったところ。ピントールが勝利。この試合の時点で強さは既に世界王者レベルだった。ロサはパンチは悪くはなかったが、ピントールの攻撃の多彩さにやられた。その後、ロサはこの再起戦でオスカー・ムニス(当時の実力者。ジェフ・チャンドラーにノンタイトル戦で勝利したが、世界王座を懸けた試合ではTKO負けだった)にKOされてキャリアを終えた。)

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