世界の名ボクサー:ロベルト・デュラン⑥「パナマの ”石の拳”」

世界四階級制覇王者。三階級制覇&四階級制覇に挑戦。カークランド・レイン戦、ホセ・ピピノ・クエバス戦、デビー・ムーア戦、マービン・ハグラー戦ほかを紹介します。

ロベルト・デュラン(パナマ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)

①カークランド・レイン 10R 判定 ロベルト・デュラン
(ミドル級戦、1982年)
(感想:ウィルフレド・ベニテスのWBC世界J・ミドル級王座に挑戦して判定負けしたデュラン(三階級制覇ならず)。その試合後、「身体が付いてこない」と衰えを語ったが、またしてもカムバック。トレーナーのレイ・アーセルと別れ、ドン・キングにも見捨てられた状況でこの再起戦。レインはジャマイカ出身でイギリス国籍の黒人。ニックネームは「The Gifted One」(「才能ある者」の意)。憧れのヒーローはモハメド・アリ。オリンピック出場を目指したが、叶わず。プロ入り後、連戦連勝。英国ウェルター級王座を獲得したが、コリン・ジョーンズ(後、ミルトン・マクローリー、ドナルド・カリーと世界王座を争ったが、勝てず)にTKO負けで王座陥落、初黒星。ジョーンズとの再戦にも敗北。そしてこのデュラン戦。デトロイトでの一戦。ガードを下げた状態でジャブ・ストレートを打つ個性的なスタイルのレイン。デュランが攻めてきてもフットワークでかわしてクリンチ。レインの速いストレートが時折ヒット。デュランは接近戦での攻めが雑な印象。10R終了。判定は2-1。ライト級時代とは別人になったデュラン。最早、「石の拳」ではない。殊勲のレイン(この試合は「リング誌」から「1982年、番狂わせ賞」に選ばれた)。その後も多くの試合。その個性的な(コミカルな?)動きで欧州王座も獲得。世界は獲得できなかったが、ヘタな世界王者よりも面白い存在だった。)

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