世界の名ボクサー:リディック・ボウ①「大柄な銀メダリスト」

統一世界ヘビー級王者。オリンピック準優勝からプロへ。デビュー当初の試合。ライオネル・バトラー戦、ロレンゾ・キャナディ戦、アール・ルイス戦ほかを紹介します。

リディック・ボウ(アメリカ)
身長196cm:オーソドックス(右構え)

①リディック・ボウ 2R TKO ライオネル・バトラー
(ヘビー級戦、1989年)
(ダウンシーン)
1R:右フックでバトラーがダウン
2R:左フック、右アッパーで2度、バトラーがダウン
(感想:「ビッグダディ」と呼ばれたボウ。ニューヨーク・ブルックリン出身。近所に住んでいたマイク・タイソンのことは子供の頃から知っているという。アマチュアでは優秀な選手で大いに期待されていたが、やらかす。ソウルオリンピック(1988年)・スーパーヘビー級でのレノックス・ルイス(カナダ)との決勝戦。受け身な試合ぶりでストップ負け。「チキンハート(根性がない)」と言われた。そして、このプロデビュー戦。この男は本当にチキンハートなのか? バトラーはルイジアナ州出身の黒人。これがデビュー二戦目(デビュー戦は判定負け)。ネバダ州リノでの一戦。共に21歳。ボウはラリー・ホームズのようなナマイキなツラ構え。バトラーは横顔がタイソンに似ている(「タイソン vs. ホームズ」?)。身長差がある対決。背が高いボウがジャブ、右ストレート、左右フック。大柄な割には接近戦でのフックが器用で、当てるのが巧い。バトラーは足で距離を取りながら意表を突くタイミングでワンツー、フック。ボウの振りかぶるような右フックでバトラーがダウン。接近戦。互いにフック。ボウが右アッパーからの左フックといったコンビネーションを使う。2R、攻めるバトラーだが、右アッパーからの左フックでダウン。立ったが、右アッパーで二度目のダウン、試合終了。接近戦での打ち合いが続いた試合。バトラーは勇敢だったが、ボウはショートフックが巧かった。この試合を見た感じではボウは決してチキンハートではない。その後、バトラーはオリバー・マッコールらを相手に勝ったり負けたり(来日したことも。判定勝ち)。元WBA王者トニー・タッブスに1RでKO勝ち。レノックス・ルイスにはさすがに敵わなかったが、IBOやWBFといったマイナー王座を獲得。多くの試合を経験した。)

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