世界の名ボクサー:ラリー・ホームズ⑤「イーストンの暗殺者」

WBC・IBF世界ヘビー級王者。WBCと決別&IBF王座防衛戦。マービス・フレージャー戦、ジェームス・スミス戦、カール・ウィリアムス戦ほかを紹介します。

ラリー・ホームズ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①ラリー・ホームズ 1R TKO マービス・フレージャー
(ヘビー級戦、1983年)
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでフレージャーがダウン
(感想:WBC・IBF王者ホームズ。WBCから1位グレグ・ペイジと対戦するよう指示されていたが、これを無視(ドン・キングが約束したファイトマネーが支払われない限りペイジとは試合しない、と頑なな態度。そういった経緯からホームズは次第にペイジを嫌悪(ペイジの実力を誉めていたときもあったが)。ホームズはリングキャリアを通じて大金を稼いだが、金銭に関するトラブル的なエピソードも多い)。経験の浅いフレージャーと防衛戦を強行しようとしたがWBCは認可せず(試合後、王座剥奪。名王者でも団体の指示に従わないと簡単に王座を剥奪されてしまう)。IBFからも世界王者に認定されていたホームズはそのまま「世界王者」として防衛戦を続けることができるようになったが、記録によると結局フレージャー戦は「ノンタイトル戦」という扱いに(ボクシング誌には「IBF王座戦」と記述されているものもある)。フレージャーはあのジョー・フレージャーの息子。オヤジさんが「Smokin'(「蒸気機関車が煙を吐いて豪快に走る」イメージ)」と呼ばれていたため、息子のニックネームは「Little Smoke」。幼い頃から父親のファイトをリングサイドで観戦。様々なスポーツを経験したが、結局、ボクシングを選んだ。兄弟や甥もボクサーに(姉も)。アマチュアではタイトルを獲得したり、後にプロで世界王者になる選手を下したりする活躍ぶり。プロではこれまで全勝。ラスベガス「シーザース・パレス」で行われた一戦(フレージャーのセコンドに父ジョー)。ゴング前、リング中央でマービスをニラむホームズ。フレージャーはホームズの懐に飛び込もうとするが、ジャブで阻止されて接近できない。ホームズの狙い澄ました右ストレートでフレージャーがダウン。一気にラッシュをかけられ、打たれ続けるフレージャーをレフェリーが救った。ホームズが経験、貫禄、パワーで圧勝。ジャブも打たずに飛び込もうとしたフレージャーは無謀だった。緊張し過ぎていたのかも知れない。その後もフレージャーはリングに上がり、ジェームス・ティリス、ホセ・リバルタ、ジェームス・スミスといった実力者相手に連勝。しかし、大変な不運。新鋭マイク・タイソンに30秒でKO負け。その後、三試合やって引退。父のように世界王者になることはなかった。引退後は牧師になったが、ボクサー時代の後遺症で深刻な状態にあるという。ボクシングには悲しい話が多い。)

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