世界の名ボクサー:ナジーム・ハメド③「柔軟な身体&強打の王子」

世界フェザー級王者。WBCインター王座戦(J・フェザー級)。フレディ・クルス戦、ラウレアノ・ラミレス戦、アルマンド・カストロ戦ほかを紹介します。

ナジーム・ハメド(イギリス)
身長164cm:サウスポー

①ナジーム・ハメド 6R TKO フレディ・クルス
(WBC J・フェザー級インター王座決定戦、1994年)
(感想:ハメドがタイトル獲得。アントニオ・ピカルディをTKOで下して欧州バンタム級王座の初防衛に成功したハメド。階級を上げるため王座返上。プロ14戦目はWBCのインター王座決定戦。クルスはドミニカの黒人。イタリアが主戦場。デビューから二連敗。後の世界王者ティエリー・ジェイコブにも敗北。その後、連勝(アサエル・モランに勝利。モランは六車卓也と空位のWBA世界バンタム級王座を争ったことで日本でも有名)。ウィルフレド・バスケスのWBA世界J・フェザー級王座に挑戦して2-0の判定負け。連勝後、スティーブ・ロビンソンのWBO世界フェザー級王座に挑戦して3-0の判定負け。実力はあるが、世界には手が届かない状況。試合前、経験豊富なクルスは自信のあまりハメドを「少年」呼ばわり。どんな試合となるか? 英国シェフィールドでの一戦(レフェリーはラリー・オコーネル。会場ではWBO王者ロビンソンが観戦)。半身の構えから右ジャブを伸ばすハメド。クルスは正統派タイプでジャブ、ワンツー、左フック。ハメドが勢いで優勢。左パンチを連打し、クルスの正直な攻撃をディフェンス。クルスもまたハメドの攻撃をブロック。4R、両者もつれ合って転倒。その後も攻めるハメド。クルスは押されてクリンチ。6R、クリンチを連発するクルス。レフェリーはそれを「戦意喪失」と見なして試合を止めた。ハメドが攻めの勢いで勝利。ただ、ダウンを奪えなかったことが示すようにまだこの階級ではパワー不足。クルスは攻めが単発。止められて不満そうだったが、勝てるような試合運びではなかった印象。その後、クルスは多くの試合。タイトル戦にも出場したが、アルフレド・コティ、ファン・マヌエル・マルケス、オルズベック・ナザロフ、レジリオ・ツールに敗北するなど負けが込むようになっていった。)

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