世界の名ボクサー:カルロス・サラテ①「正確無比なKOアーチスト」

WBC世界バンタム級王者。世界王者になる前の試合&世界戦。オルランド・アモレス戦、ロドルフォ・マルチネス戦、ポール・フェラリ戦、フェルナンド・カバネラ戦ほかを紹介します。

カルロス・サラテ(メキシコ)
身長173cm:オーソドックス(右構え)

①カルロス・サラテ 3R KO オルランド・アモレス
(バンタム級戦、1975年)
(ダウンシーン)
3R:左フックでアモレスがダウン
(感想:メキシコシティの中流家庭出身のサラテ。ケンカ好きの少年時代。当時、憧れたボクサーはジョー・メデル。クーヨ・エルナンデスに弟子入り。非常に端正なファイティングスタイルながらアマチュア時代から強打で活躍。プロでもKO勝ちが多い。ベストファイトは世界王座を獲った試合で、最もキツかったのは初防衛戦(挑戦者ポール・フェラリはディフェンス、タフネス、バッティングに優れていたという)と引退後、語っている。甥ホエル・ルナ・サラテもボクサーになって数度の世界挑戦のチャンスを得たが、敗北や引き分けで結局、世界王者にはなれなかった。アモレス戦はプロ34戦目。これまで全勝で、前回の試合ではカリフォルニア州王座(バンタム級)を獲得している。アモレスはパナマ人。パナマ王座(フライ級)を獲得したことがあるが、大場政夫のWBA世界フライ級王座に挑戦したときはKO負け。このところ連勝中。カリフォルニア「フォーラム」での一戦。ガードをしっかり固めて左ジャブ、左フックのサラテ。左フックでカウンターを取るなど左のテクニックがある。アモレスはなかなか好戦的。ジャブは少ないが、思い切った右ストレート、フック攻撃。サラテはブロックするが、時折被弾。3R、激しい打撃戦。そしてサラテが右フックからの左フック。ダウンしたアモレスはうつぶせのまま10カウントを聞いた。サラテが強打で勝利。最後の左フックが決まるまではそれまでと同じようにアモレスが力強く攻めていたが、一発で終了。サラテにはディフェンスの隙を突く天才的な勘があった。アモレスは残念。実にパワフルだったが、ジャブが少なかった。その後、アモレスは洪秀煥、エウセビオ・ペドロサらに敗北し、ラストファイトはルペ・ピントールにKO負け。世界戦は大場戦のみに終わった。)

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