世界の名ボクサー:モハメド・アリ②「ザ・グレーテスト」

世界ヘビー級王者。世界王座防衛戦。ジョージ・シュバロ戦(初戦)、ヘンリー・クーパー戦(再戦)、ブライアン・ロンドン戦、カール・ミルデンバーガー戦を紹介します。

モハメド・アリ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①モハメド・アリ 15R 判定 ジョージ・シュバロ
(世界ヘビー級タイトル戦、1966年)
(感想:アリがタイトル防衛。これまで全勝のアリ(24歳)が3度目の防衛戦(プロ23戦目。66年初試合、3月)。しかしながら、様々な困難。当時アメリカはベトナム戦争の真っ直中。入隊資格があるアリはベトナム戦に行く義務が生じたが「ベトコンには何の恨みもない」とコメント。これらの言動によりアリは反感を持たれ、アーニー・テレルと行う予定だったアメリカでの試合が中止。カナダでシュバロと対戦することに。挑戦者シュバロ(28歳)はカナダ育ちの白人で、両親はクロアチア人。アマチュアで活躍。オリンピックの代表に選ばれたが、生活のためプロ転向。これまで30勝(17KO)11敗2分。カナダ王座を獲得しているが、敗北が多い(ゾラ・フォーリー戦、フロイド・パターソン戦など)。アーニー・テレルのWBA王座に挑戦して判定負けしたことがあり、直前の試合は英国で判定負け。「アリ vs. テレル」が流れたことから急遽、挑戦のチャンス(試合の17日前に決定)。試合前、アリ「神がついているから何も怖くない」、シュバロ「接近戦で痛めつけてやる」とコメント。カナダ・トロントでの一戦。試合前、ロッキー・マルシアノがリング上で挨拶。ジョー・ルイスがシュバロのセコンドに付く。1R、踊るようなフットワーク、ジャブのアリ。シュバロは動きのキレに欠けるが、接近してフック攻撃。ホールドするアリに右ボディを連打。その後もアリはブロックしながらジャブ、右ストレート、ショートフック、連打。シュバロはボディ攻撃。スピードに差が。アリがシュバロをおちょくるかのように細かいジャブを連打。シュバロは正確な左ジャブ、パワフルな左ボディ打ちなど左に良さがあるが、ディフェンスされるシーンが多い。しかしながら、アリは軽いパンチが中心で時折打たれたり、ボディを攻められたり。手数で挽回するパターンで15R終了。判定は3-0。アリが手数で勝利。ただ、ボディを打たせる戦い方には疑問(後にジョージ・フォアマン戦でも使った戦法。相手のスタミナをロスさせる作戦なのだろうが、ボディを打たれるのはキツいはず)。シュバロは機敏さに欠けていた。試合後、アリ「シュバロはこれまで戦った中で最もタフだった」とコメント。シュバロもアリを尊敬。しかしながら、アリはその後も不人気のため、アメリカでは試合しづらい状況が続く。その後のシュバロ。中堅どころには強さを見せたが、オスカー・ボナベナ、ジョー・フレージャー、バスター・マティス、ジョージ・フォアマン、ジミー・エリスに敗北。そして、アリと北米王座を懸けて再戦(1972年)。)

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