世界の名ボクサー:アーニー・シェイバース①「黒い破壊者」

ヘビー級の強打者。世界挑戦する前の試合。ジミー・エリス戦、ジェリー・クォーリー戦、ロン・ライル戦、ヘンリー・クラーク戦、ロイ・ウィリアムス戦を紹介します。

アーニー・シェイバース(アメリカ)
身長183cm:オーソドックス(右構え)

①アーニー・シェイバース 1R KO ジミー・エリス
(ヘビー級戦、1973年)
(ダウンシーン)
1R:右アッパーでエリスがダウン
(感想:「The Black Destroyer」と呼ばれた黒人強打者シェイバース。本名「アーニー・ディー・シェイバース」。アラバマ州ガーランド出身、生年月日「1945年8月31日」。身長は「183cm」でそれほど大きくないが(ただし、リーチは201cmある)、ガッチリした身体から繰り出す左右フック連打は破壊的(彼と戦ったモハメド・アリやラリー・ホームズはそのパワーを最大級の表現で評価)。見た目の個性を生かそうと映画『ロッキー3』(1982年製作)のクラバー・ラング役のオーディションを受けたこともあるそうだ(落選)。ボクシングを始めたのは遅く、22歳の時。アマチュアでの試合数は少なかったが、その強打でタイトルを獲得したことも。1969年にプロ入り。しかし、連戦連勝というわけにはいかず、プロ三戦目で判定負け。その後もKOの山を築く一方で、KO負けを喫したことも。ネバダ州ヘビー級王座獲得。ビセンテ・ロンドン(ベネズエラ。当時、元WBA世界ライトヘビー級王者)に判定勝ち。ジミー・ヤング(後、アリの世界王座に挑戦)にTKO勝ち。そして、このエリス戦。エリスは元WBA世界ヘビー級王者。アリと同じケンタッキー州ルイビル出身の黒人でアリとは友人関係。ジョー・フレージャーに敗れて王座から陥落後はアリと北米王座を争って敗れたり、中堅どころを相手に連勝したり。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。まずは相手から距離を取るエリス。シェイバースはジリジリと距離を詰めて右ストレート。エリスがラッシュ。右ストレート、左フックを連打。しかし、右アッパー一撃でエリスがダウン。立てず、KO。シェイバースには有名なKOシーンがいくつもあるが、これはその一つ。相手の攻撃をかわしてアッパー。実に強烈な一発。ただ、狙いすぎの攻め方だったような雰囲気も。エリスは良い打ち方をしていたが、相手のパワーをマトモに受けてしまった。その後、エリスはピークを過ぎたか、ロン・ライル、ジョー・バグナー、フレージャー(再戦)に三連敗するなど負けが込んでキャリアを終えた。)

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