見出し画像

米国著名アクセラレーター500 2021年冬デモ・デー速報その①

米国のアクセラレーター、500のデモ・デーが2月4日に開催されました。500はYコンビネーターと同様に米国で最も人気のあるアクセラレーターの1つで、これまでにUdemyやさGitLabなどを数多くのスタートアップを育て送り出しています。

今回のデモ・デーはオンラインでの開催となり、参加した企業は27社に上りました。各企業のプロダクトは8つのカテゴリーに分類され、1チームあたり約2分の持ち時間で発表が行われました。今回は「Future of Works」「eCommerce/Reseller Marketplace」のカテゴリーで登場したスタートアップについて、そのプロダクトのポイントをご紹介したいと思います。

Future of Works

Sendspark(米国)
・ビデオメッセージを簡単に作成するプラットフォームを提供
・顧客コミュニケーションの方法として、メールよりもビデオメッセージの方が顧客からの返信率は高い
・ニュースレターなども動画メッセージにすることで顧客とのエンゲージメ  ント向上が期待できる
・マーケティング、カスタマーサポート、日々のコミュニケーションなど様々な用途で利用可能
Webサイト:Sendspark

Avatour(米国)
・工場の検査や実地でのトレーニングなど、現場で実施されているミーティングは多い
・Zoomは会議室で行われたミーティングをオンライン化したが、Avatourは現場で行われるミーティングをリモートで実現するソリューションを開発
・360度の視野を持つハードウェアを現場に置き、それを操作することでリモートでも現場にいるような感覚でミーティングできる体験を提供する
Webサイト:Avatour

画像1Avatour製品イメージ(Avatourウェブサイトより転載)

Pineapple(アイルランド)
・Z世代をターゲットにしたプロフィール作成ツールを提供
・そもそもZ世代は就職活動の際に自分をアピールすることが苦手であり、書類選考の通過を難関だと感じている人が多い
・Pineappleは候補者の人柄や特徴を網羅的に把握した短編ストーリーを作成するツール
・企業側も従来の履歴書などでは見落としがちな人柄や特徴を把握することができるため、採用の質を高められる
Webサイト:Pineapple

画像2Pineappleが作成する短編ストーリイメージ(Pineappleウェブサイトより転載)

Stack(オランダ)
・パソコンを使う際、タブを開き過ぎてしまって目的のタブを見失うユーザーは多いが、この問題は長い間改善されていない
・Stackは長年デザインに大きな変化がないタブのユーザーエクスペリエンス向上にチャレンジ
・スマホ画面のような縦長サイズで表示することで、目的のタブを発見しやすくなり、生産性向上につながる
Webサイト:Stack

画像3StackのUIイメージ(Stackウェブサイトより転載)

Workclass(シンガポール)
・すぐに人手を集めたい企業とすぐに働きたい人をマッチングさせるプラットフォームを提供
・東南アジアのブルーカラー市場ではすぐにでも働きたい労働者は数多くいるが、仕事を見つけても手続きなどに時間がかかり、働き始めるまで数週間かかってしまうという問題がある
・Workclassではそのような問題を解決し、マッチングすると労働者がすぐにでも仕事を始められ
Webサイト:Workclass

Grow(米国)
・従業員の成長に欠かせない「フィードバック」を簡単に共有できるツールを提供
・給料よりも成長できる場を求めて会社を選ぶ人がいることを背景に、より充実したフィードバックを共有できる環境の実現を目指している
・フィードバックしたいスキルや感情をタグで選んだ後、自由にコメントを記載することができる
・SlackやTeamsなど様々なツールとのインテグレーションが可能
Webサイト:Grow

画像4Growフィードバックイメージ(Growウェブサイトより転載)

Get on Board(チリ)
・ラテンアメリカのテック業界に特化した採用プラットフォームを提供
企業がテック人材を見つけて採用するまでに多くの時間を費やしているという問題を解決する
・採用したい人材のスクリーニングからコンタクトまでをプラットフォーム内で完結できる
Webサイト:Get on Board

画像5Get on Board UIイメージ(Get on Boardウェブサイトより転載)

eCommerce/Reseller Marketplace

Appbind(米国)
・B2B向けSaaSに特化したリセラープラットフォームを提供
・B2B向けSaaS市場が拡大していく中、販売代理店が間に入り再販するというビジネスモデルが崩壊しつつある
・またSaaSを利用する企業は数多くのSaaSをサブスクリプションで利用している中、支払いや利用期間の管理の複雑さが問題になりつつある
・Appbindは企業が利用するSaaSをまとめて管理するプラットフォームを提供
・AppbindはSaaS企業から販売手数料を得るという仕組み。Appbindを利用してSaaSを一元管理する企業は無償で利用できる
Webサイト:Appbind

画像6Appbindを利用したSaaS管理イメージ(Appbindウェブサイトより転載)

Ecocart(米国)
・Eコマース企業向けにCO2やその他温室効果ガスの排出量を計算できる機能をAPIで提供
・Eコマース企業が販売する製品の素材、梱包、配送距離などを計算して各注文毎に想定されるCO2などの排出量を表示
・消費者はEcocartが使われているEコマースで買い物をする際に発生するCO2などの排出量を確認できる
・Ecocartを使っているEコマースで買い物をするとEcoポイントを獲得でき、自然環境を守るコミュニティーに寄付できるほか、Amazonギフトカードなどにも交換することができる
・既に300以上のEコマース企業がEcocartを利用している
Webサイト:Ecocart

Invidica(米国)
・Eコマース向けに売上予測、競合、適正価格などの様々なデータを提供するマーケットプレイスを提供
・Invidicaが保有する膨大なデータを分析して提供することでEコマースのビジネスをサポート
Webサイト:Invidica

注目ポイント

私がこの中で最も注目しているのが、B2B向けSaaSに特化したリセラープラットフォームを提供するAppbindです。SaaSを活用することが当たり前になる中、従来の商品毎に購入金額を支払うのではなくサブスクリプションで利用するようになり、契約期間や支払いの管理に手間と時間がかかるという問題は今後増えていくことが予想されるからです。

また企業だけでなく、個人のサブスクリプション管理が大変だと思っている人も多いのではないでしょうか。私自身もサブスクリプションで様々なサービスを利用していますが、その管理ができておらず解約したと思っていたサービスに対して支払い続けていたという経験が何度もあります。SaaSは販売代理店などを通さずにダイレクトに顧客へ販売されるケースが多いですが、Appbindのようなに新たな価値を提供することでSaaS提供者・利用者から受け入れられるサービスを提供できるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?