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知識と理解の話

元彼は"自称"マイノリティに理解のある人だった。

私は付き合い始める時に「スキンシップが苦手で好きではなく、その先も時間がかかるかもしれない。それでも良いか。」と聞いた。

そういう人もいるからと、その時は理解してくれたように感じた。

付き合って2ヶ月半後、触れられる事に対する嫌悪感について話をした時、昔の友人に体の一部が不自由な人がいた事や、アスペだと思う知り合いがいたという話をしてくれ、全て個性だと彼は言った。

その時にノンセクである事も言っていれば、お互い傷付かないで済んだのかもしれないと、今になっては思う。

付き合って4ヶ月後、初めてキスをしたいと言われた時に拒否した事件(※後日別にまとめる)の数日後、きちんと話がしたいと呼び出された。

彼の意見は以下。
・自分を否定された様に感じて傷付いた
・私がドライすぎて付き合っている気がしない
・男としてどう見られているのか

その時に初めて恋愛感情に性欲が伴わない事を伝えた。

「それってアセクシャルってやつ?」

LGBTならまだしも、アセクなんて普通の人なら知らない言葉だと思っていた。

知っていると彼は言い、それならと自分の意見を色々と伝えたが、話せば話す程彼の表情は曇っていく。

「理解出来ない。混乱している。」

埒が明かないと感じたのか、とりあえず分かったと言った。

その後この話題に触れる事は無く、後日別れを切り出された。

 *

彼はアセクという言葉の意味は知っていたが、本当の意味での理解はしていなかったのだと思う。

それが悪い事だと責めるつもりは無い。

私が性愛という物を理解出来ないのと同じだ。

たとえ本質的には理解出来なくても、お互いに関する知識を深め、理解しようと努力することで、ある程度は近づくことが出来ると思っている。

価値観が違っていても上手く付き合っているパートナーもいる。

だが、どちらかが我慢しなければいけない事は事実だ。

彼の様に自分には理解できないからと切り捨てる事も、ある意味、相手への優しさなのかもしれない。

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