ポエミーだね

僕はいつまでもある人物に執着している。
5.6年前に出会った、かつては大嫌いだった親友に。

彼女は綺麗な子でした。性格は最悪でしたが。

彼女は優しい子でした。男運は最悪でしたが。

彼女は哀れな子でした。親友が最悪ですから。

僕は、彼女のことを、世界で一番美しいと思っている。
あいつの生き様は、あまりに人間らしく、汚く、あいつの顔のように綺麗だった。
彼女は人運が酷く、本当に、悪い。
元彼なんてのは総じてクズだったし、友達なんて1年いていい方だし。
なによりも、こんなに醜く執着心を剥き出しにした親友がいるのが、運の尽き。

あいつのために死ぬなんてごめんだ、と思う。
でも、あいつと一緒に死ぬなら、喜んで死ぬ。
あいつが彼を刺せというのなら、喜んで刺す。
僕は彼女を愛していた。

中学時代の彼女は、今にも夢に出る。
最低な言葉ばかりを並べながら、桃色の形のいい唇を歪ませて白い肌を覗かせたその顔をよく覚えている。
「一緒に死んでや」と言ったその顔があっけらかんとしていたのが、恐ろしいほど美しかった。
ああ、彼女は、天使なんだ、と、本気で思った。
押し付けてごめんね。愛してたよ。
白い羽根なんて似合わない。
灰色の飛べない羽根がよく似合う彼女を愛していた。
僕の醜いアヒルの子。
愛しい愛しいアヒルの子。
もう白鳥になってしまったアヒルの子。
変わらないでと願った祈りが通らなかったのは、僕が悪いんじゃない。
神は、天使は、もう死んだ。

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