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2月21日
↑そうだね
今回は重たい話です。精神に問題のある方は読むのを控えてください。
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痛みと祈り
いつもの様に夜更かししていると、友達から連絡が来た。
「大量に服用したら死ぬ市販薬ってある?」
名前は出さないが、オーバードーズと聞いて思い浮かぶ薬はそれなりにある。どれも海外で言うところの「パーティードラッグ」の様な目的で使われるモノばかりだけど、死亡リスクがあるのは確かだ。
問題はそのリスクがだいぶ低い事。失敗するともれなく病院送りになり、水を吐かされるフグみたいになって後遺症もついてくるのは間違いないだろう。
「知ってる限りではないなぁ。それに僕らは持病の薬を何錠も飲んでるんだから、市販薬なんかじゃ死なないと思う。失敗すると怖い事になるよ」
「じゃあ腹を切るのは?」
勿論言わなかったが、その方法はかなり馬鹿げている。腹部には脂肪が集まってるし、よっぽど深くやらないと痛いだけで何の得にもならない。そもそも痛くて深く切るのも難しい気がする。
「どのみち自死は難しいし、失敗した時に背負うリスクも大きい」
僕がそう言うと、友達はしばらくしてこう返してきた。
「そうか。ちなみに……
自分がどんな死に方をしても受け入れてくれる?」
もはや僕に積極的に話し掛けてくれる人なんかいない。同じゲームで一緒に遊んでくれる人もいない。ただ一人、友達を除いては。
「正常な状態で出した結論なら僕は受け入れたいさ。でも今は落ち着いてる様に見えない。そういう状態で死を選んで欲しくない」
「大丈夫だとは思うけど、相談してる時点でかなり迷ってるのかも。優柔不断な自分が憎いよ」
それから、「こんな話をして申し訳ない」と謝られた。別に何話してても優柔不断でもいいよ。いいけど気の迷いで死のうとするなよ。
お前はいい奴なんだから地獄には行けない。死んだら僕は今度こそ……本当に独りぼっちになるじゃないか。
「迷ったり心が乱れるのは自然な事だよ。僕もそんな感じだ。こういう暗い話って誰かに話しにくいし、話してくれて嬉しいと思ってる」
「ありがとう、そう思ってくれて嬉しい。ここまで話せるのは桐くんしかいないから。
今日はもう寝て、明日になっても気持ちが変わらなかったらまた連絡するよ……」
「心変わりして前向きな連絡になる事を祈ってるよ、おやすみ」
僕はそんな当たり障りのない言葉を掛ける事しかできなかった。
寝て起きたら、彼は前向きになっているだろうか。少しでも生きようと思ってくれるだろうか。
悪い予感しかしない。
ここまで書いてから、頓服と睡眠薬4錠を流し込んだ。(これを書き始めた時も抗不安の頓服を飲んでいた)
友達を失うかもしれないという恐怖から逃げたかったのだ。僕はどうしようもない。
暗い部屋を雪明かりが照らしている。自然に涙が溢れた。
青ざめた白と朝
午前7時に目が覚めた。薬5錠も強力な不安には勝てなかった様で、ほとんど眠れなかった。起き上がって窓を見ると、雪がピカピカ光っている。何の感情も湧かない。
友達からの連絡はなかった。
祈りながら静かに朝食を取り、寝てしまわない様にエナジードリンクを飲む。乳白色だが青く、不気味だった。
9時頃、とうとう友達から連絡が届く。
「CHILL OUT買ってきたから3本飲んだ 眠たいけど寝られない」
……色々突っ込みたい所はあるが、とりあえず死ぬのは諦めてくれた様なので安心した。「死んでなかったらゲームの話をしよう」と約束していたので、僕は短編ゲームと精神科の受診を勧めておいた。
強いストレスを受ける労働環境。眠たいのに眠れない(夜もそうだったらしい)。そして夜中のあの言動……明らかにうつ病に足を踏み入れている。
友達は救われるべきだが、僕は彼を直接救う術を持っていない。
導く力はまだ残っているだろうか。残っているのなら、悪化ではなく回復への道を示していきたい。
僕と同じ苦しみなんて知って欲しくないのだ。
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