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セロリ

友人が家に泊まって行った。
泊まる、と言ってそいつがやってきたのは久しぶりだった。ふらっとやってきてもいつも終電までに帰る男だ。

夜が更けてから、俺が新しく買ったエフェクターをいじり始め、その横にあるルーパーで遊び始めた。テーマ曲は竹内まりやのプラスティック・ラブ。4小節分のバッキングギター2種類とベースをそれぞれ録り、そのトラックでソロを弾いて遊んだ。

初めて音楽で遊んだな〜という感覚を得た。その友人とは曲を少しだけ作ったことなどもあったが、それとはまた違った楽しみを得られる遊びだった。3時間近くそれで遊んでいた。

朝目が覚めて、ずっと気になっていた近場のカフェでコーヒーとホットサンドを食べた。機会こそ然程多くないが、ホットサンドを食べる度にホットサンドメーカーを買いたくなる。毎朝とはいかなくとも、毎週数日、朝に余裕を持って起きて美味しいホットサンドを作れる人生の豊かさには憧れる。

そのホットサンド、具はバジルチキン。炒めたセロリも入っていた。俺はパクチーとセロリが苦手。ただ、今日食べたセロリはなんだか美味しく感じた。最近、苦手だった茗荷も美味しく食べられるようになり、好物になった。食べられるものが増えると大人になった気がする。先日のラジオで、ハマ・オカモトが焼き茄子を美味しく食べられるようになった時大人になったと感じた、と話していたことを少し思い出した。

この友人と過ごす時間はいつも豊かだ。口を開けば音楽、映画の話ばかり。お互い口を閉じて会話をしない時間も最近は増えてきた。だがそれすらも心地よく感じる。そしてこの男の他にも今の俺の周りには一緒に過ごすことで気持ちの彩りが増える人が数人いる。みんなのことを大切にしようという思いを述べてこの文を締めよう。

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