私の人生相談
仕事を見つけ、やっと独立してから、ふと気になった美術の専門学校に体験に行った事があります。
体験の中で「あ、ここだ」と感じました。
私が初めて、心から「ここに行きたい」と思った学校でした。
しかし、もう手遅れでした。どう考えても学費の工面が出来なかったのです。実家と縁を切り、貯金もままならない安月給の仕事にありついたばかりの人間には、打つ手が有りませんでした。
そして、必死に生計を立てる間に、この歳になってしまいました。
仮に、現役の時にその学校に出会えていたとしても、入る事は出来なかったでしょう。
「ワタシの子は有名大学に入って当たり前」「専門学校なんて学校ではない」と思い込んでいた母が許可するはずがありませんから。
「お前はよく人に振り回される」と母は私に言いました。が、最も私を振り回してさらに圧迫したのは母でした。
他人の非をあげつらい、あたかも自分が正常のように見せかける。それは天性の詐欺師である母がよく使う常套手段でした。
母はよく「お前が悪い子だった」というエピソードを私に話しました。
私が2歳くらいの時、弟の出産のため父方の祖父母宅に1ヶ月ほど預けられた事が有ったそうです。
母が生まれたばかりの弟を抱いて、私を迎えにきて、支度をさせ、さあ帰るぞと玄関で挨拶をした時のことです。
祖父母が私に「おい○○、帰りたく無いやろ?もうちょっとここに居てもええんやで?」と言ってしつこく私を残らせようとしたのです。
当時すでに、母と父方の家は徐々に仲が悪くなっていたようで、祖父母の引き留め行為は、母への当て付けの意図があったようです。
母は私に「そんなこと無いやんな?お母さんと帰りたいやんな?帰るで。」と、私から帰りたいと言わせようとしたそうです。
「帰りたく無いやろ?」
「帰るで」
「帰りたく無いやろ?」
「帰るで」
この応酬が続いたあと、間に挟まれた2歳の私は混乱して泣き出したそうです。
母は怒りながら私の手を引いて帰途に着きました。
、、、この昔話をしながら、母は「普通の子供は、親が帰ろうと言ったら自ら進んで帰りたいと言うはずだ。そうしなかったお前は異常だ。いい子ぶっている。」と言いました。
車の運転要員として同行していた母の兄(父は非協力的で来なかったそうです)も、帰りぎわに2歳の私に向かって「お前も自分で帰りたいと言わんかい!」と怒ったそうです。
この話を聞かされていた当時は、「そうなんかな?」思っていましたが、今思い出してハラワタが煮えくり帰ってきました。
普通の親であれば、自らの責任で子供を守り、祖父母に「余計なことを言わないで下さい」と言うはずです。
さらに我が子が泣き出したなら、まず謝って慰めるはずです。
それを、自分が矢面に立ちたくないが為に、2歳の我が子に責任を押し付けて帰りたいと言わせようとする。
その上、自分の思い通りに動かなかった子供に逆上し、何年も根に持って責め立てて罪悪感を植え付ける。これは極めて卑劣な行為です。
さらにさらに、その動きに母の兄も同調した。全く意味が分かりません。
母への当てつけのために孫を利用する祖父母。祖父母に対抗する道具として私を利用する母。どこにも愛情はありません。
子供に寄り添える人間が、どこにもいない。
大人達の都合で子供を泣かせて申し訳ない、というマトモな人間の感情を、周囲の関係者の誰も持っていない。
そんな「ヒトモドキ」ばっかりなのに、今日も世の中は回っている。これは一体どういう事でしょうか?私にはさっぱり分かりません。
母の発想の根本には、「子供は盲目的に親に懐くべきもの」「子供は、親が右と言えば右、左と言えば左に従うもの」という妄信があり、さらに「そうしない子供は異常」という二重三重の思い違いがありました。
ご存知のように、例え親子であっても、別個の人格を持った別々の人間なんですから、意見が違って当然です。
母はその事実を全く受け入れませんでした。
母は自らの軽蔑に値すべき妄想に、なぜか絶対の自信を持っていました。
その数少ない根拠の一つが「私は短大で幼児教育を学んだから」でした。
話になりません。母が現役の頃、女性の短大・四大の進学率は20%でした。数の上では上位層になるのでしょう。
しかし入学試験は有って無いようなもので、裕福な家庭の子なら、アホでもどこかに入れたものです。
そこで学ぶ児童心理学など、かなり初歩的なものだったはずです。
それを声高らかに自慢し、自らの妄想を正当化しようとする。なんと空しい学歴の使い方でしょうか。
母は短大で、一体何を学んだのでしょうか?
短大で間違ったことを教えていたのか、それとも母が教わった内容を正しく理解できないまま点数だけ取って単位を貰ったのか。それは謎のままです。
思えば、高二のパニック発作の後に行った公立病院の精神科のお医者さんが一番まともだった気がします。
「同級生の言動はおかしい」「確かにこの辺の地域はよそ者を排除する閉鎖的なところがある」などと的確な事をおっしゃっていました。
もう10年以上前なのでこの先生がどこにいるか探しようがないですが。
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