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日本橋のたいめいけん

 東京都、中央区、日本橋。江戸時代に花開いたこの街は、古くより人の往来、文化を支えてきた。モダーンなこの街の立ち位置は今日もより深化し、古きものと新きものが共存する、イイ雰囲気を醸し出しております。そんな由緒正しき街には、もちろんおいしいお店が、必ずあるのが定石です。たまにはそんな街で、おいしい洋食を食べに行こうではありませんか、いざ、たいめいけんへ!

 たいめいけんは昭和6年の創業、歴史ある名店であります。地下鉄の日本橋駅からほど近く、昭和通りの裏手路地にお店を構えています。現在はテレビでもおなじみの三代目が腕を振るっておりますが、お店の入り口に立つポップも三代目とは!しかし黒いぜ!燃えてきたぜ!今日はそんな三代目を意識しつつ、黒生ビール(大)を注文。弩級なジョッキで参った黒生、筋トレができそうな重みよ。これをグイっとやって、さて始めてみようか。本日は「魚介ミックスフライ」と「タンポポオムライス(伊丹十三風)」で攻めてみます。

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 「魚介ミックスフライ」はエビ、イカ、ホタテの3種盛り。どーれ、まずはイカから。おぉ、柔らかい。イカの甘みがしっかり分かりつつ、さっくり揚ったフライちゃん。これ、やっぱり「洋食」って味だよなぁ、なんというか上品なフライド感。ホタテもいい感じで。エビちゃんもプリプリです。そんな上品なフライを特製のマヨネーズで頂きます。甘めなコールスローも挟みつつ、、上品かつ繊細、あと、やはり、そこはかとなく感ずるは、昔食べたデパートの最上階レストランの、あの味。小さなころ家族で食べに行きました、ハレの日曜日に。ママンの服見る時間が長くって、よく退屈してました。ダディの紳士服売り場についてくのもめんどくさくってね、おもちゃ売り場にいくーなんて駄々こねていました。で、レゴの一番安いセットを買ってもらって、レストランへ。お子さまランチかマカロニグラタンだったなぁ、、あっ、思い出に耽ってしまった、そんな味。ええい、バカもの!男1匹そんなノスタルジに浸ってはならぬ、前を向け、そして今、俺は三代目の繰り出す料理を堪能すべき時なのだ、と、黒ビールで心をリセット。

 そしておいでなすった、「タンポポオムライス(伊丹十三風)」。いまさら映画の話など抜きに、素直に味わってみようではないか。まずはナイフで切り目を。さすれば開かれるであろう、トロりん半熟オムレツの円環が。おぉ、美しい、どこまでも続く黄色い絨毯。そこに真紅のケチャップをオン。時は満ちた、おもむろにスプーンでグイっと。あぁ、ケチャ味のチキンライスに、半熟オムレツ、そして純なケチャ。この三位一体こそがオムライスの真髄であろう、言わずもがな、うまし!上品な味付けのチキンライス、いい。特に混入する缶詰的なマッシュルームがいい!そして、半熟オムレツ、最高、やっぱりトロリンちょだよなぁ、と心から卵に敬愛の精神を抱かざるを得ない。そしてその上に乗るピュアで濃い味のケチャップ、滲みるぜ。もちろん、俺はデミグラスソースがけのオムライスも好きだ。しかし今、このオムライスを食べて思う、気取ったデミ味オムライスなんてヤサ男の食べ物だ、ハードボイルドなワイルド野郎ならケチャ味だろうが!と、まぁ、盛り上がってきた次第。

 最後に残った黒ビールをグイっと飲み干し、大団円を迎えた本日のたいめいけん。伊達に三代目は黒くないんだぜ!と。そして、洋食はやはり男(女子にも!)のロマンなんだぜ!と。でも次回は「オムハヤシ」もいいなぁ、と不埒な考えを胸に帰路へついたのであった。

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