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赤羽の川栄

 東京都は北区、赤羽。荒川上流のこの街は、飲み屋ひしめくディープタウン。2020年の土用の丑の日、この街を訪れたのは言うまでもなく、鰻を頂くためであった。土用の丑の日は古来より「盛夏を乗り切る」為に栄養ある鰻をいただく日、いいじゃないか!訪れたる名店は「川栄」、昭和21年創業の歴史ある名店であります。長い梅雨が明けた二の丑のこの日、憧れのこの店でどんな感動が待っているのか、いざゆかん。

 川栄さんは鰻はもちろんだが、創業当時から鳥料理も扱っており、今日は名物「ホロホロ鳥」も頂けてしまう、二兎追うものは二兎も得れてしまう楽しきお店。川栄初体験のこの日は朝からワクワク、お昼ご飯なので朝ごはんヌキのハラペコで参りました。さてさて、何を頼もうか。クライマックスはもちろん鰻重として、、赤羽ということもあり、お酒でしょ、と生ビールの中と、罪悪感を残しつつもオーダーせざるをえない、ホロホロ鳥の刺身とタタキのセット。あと鰻の肝串とホロホロのつくねも頂いちゃおう。まずは前半戦、チョイ飲みタイムであります。

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 おいでなすったホロホロセット、いい盛りだ。まずは刺身をわさび醤油で、、おぉっ、こ、これうまい。鳥刺は生牡蠣と一緒でちょっとアタるのが怖いので、構えてしまうのだが、これは・・・刺身でなければ味わえないこのホロホロ、トロリと溶けていくこの爽快感、初体験な美味、フレッシュ!あぁ神よ、こんな贅沢をしてしまう僕をお許しあれ、エイメン、といった具合で、ビールがついつい進んでしまうのであります。そして今度はニンニク醤油でタタキを。グハッ、なんだこれ、超うまいではないですか、、恐ろしい。。ホロホロ最高、いや最強な鳥刺だッ!!僕はお子様なのか、タタキの方が好みだ、これはうまい、絶対次回来ても頼みたし一品!!そして、肝串、最高。こんがり焼けた風味とニガミが相まって、ビール加速度が高まり、飲み切ってしまった、これはい・け・な・いルージュマジックであります、やばし。仕方ない、せめてもの贖罪的にチューハイを追加オーダー、来たるホロのつくねに応戦だ。つくねも、、これもうまい。混入されし軟骨が利いてるホロならではの旨味凝縮、塩つくね、チューハイが最高のマリアージュ!最近焼き鳥食べていなかったこともあって、グッ、、涙が、、いかんいかん、まだまだこれでは終われないんだぜ、俺は鰻を食いに来たんだぜ、泣くには早すぎる、Too Young Too Dieだ!とホロと鰻肝串でホロ酔いだが、ここからが本番なんだぜ。

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 登場するは本日の千両役者、鰻重・最特、3,900円!!だって最特ですもん、「最も特上」なんだ、そりゃあ値が張るさ、でも年に一度だ、絶対外せないんだぜ、と江戸っ子気質に本日最後の戦いへといざ、尋常に。重の蓋をオープン!おぉ、おいでなすったうまそうなウナ様よ、いい照りですなぁ。おもむろに山椒を振りかけ、一口。ギャフン!これはうまい!!こんがり焼けた鰻だが、口中でホロリと溶ける、これ、いい鰻だ。しかも全くコッテリ感なく、サラっといけちゃう恐ろしさ。結構飲んで食べた後なのに、ぜんぜんいけますよ、奥さん!これは食えば食うほど腹の減る鰻重だ、最強!俺、人生最後の晩餐は鰻だな、やっぱり。と思わず思うこのうまさ、やめられないです。一口一口旨味を噛み締め、重を掘り進み、早や、ラス一口となりますと、ググっと俺の心に寂しさが訪れたのは言うまでもない。だって、この一口を食べてしまったら、もうこの最特の鰻重は消えてしまうのだから・・・いかんいかん、そんな感傷的では!行ってしまえ、最後の一口!いや、でも、、とラストにして食べるのを迷うほどのウナトトよ、さらば!とペロリ完食であります。最後に肝吸いをグイといき、本日の大一番を終えた。

 2020年のこの土用の丑の日、俺は新しい夏の扉を開いてしまった。ホロと鰻のデスマッチに俺は完敗だ。これほどのおいしい強敵達との出会いに感謝。「また来るぜ!」そう心の中で誓いながら、赤羽を後にした。

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