食べたいものが、食べたい 1食目
おいしいごはんと、食べたいもの
以前、「おいしいごはんが、食べたい」というnoteを書いた。
あれからひと月、未だに、おいしいごはんは食べることができていない。残念ながら。同僚とは、「早く行けるようになんないかしら…」と言いながら、職場の化粧室でおしゃべりする日々だ。待ち遠しい。
そんな中、仕事がにわかに忙しくなり、残業が増え、週3日は、コンビニおにぎりとインスタントスープの夕食になった。つまり、家族と食事をする機会も減った。一番苦手な、一人ご飯。ちっとも美味しくない。悲しい。
溜まる鬱憤。「おいしいごはん」も食べられない、家族とも食べられない、コンビニごはんだって飽きた。休憩時間は限られているから、いつも買えるのは職場内の売店。時間が遅いから、商品は少ない。バリエーションに乏しいのだ。
そんな中、私は考えた。休日はせめてなにか、楽しい食事ができないか。
そこで、休日の中で一番、一人で気ままに食べられる土曜のランチに「食べたいもの」を食べようと、思い立った。
今回は、サンドイッチ。
理由は、「食べたいから」に他ならないのだが、もう少し掘り下げると「外では食べられないから」である。
無論、外で食べてはいけません、という法律があるわけではない。外で、食べ物を手で直接触るというのが、どうも苦手だからだ。このご時世というのもあるし、元々避けているのもある。また、サンドイッチは上手に食べないと、具がパンからこぼれてしまう。そそっかしい私は、服を汚しかねない。また残業中は、デスクで食べるので、PCや資料にはねてはいけない……など考えすぎるので、手掴みで食べられない。そのためサンドイッチは、私のあこがれの食べ物の一つである。
ということで、自宅でサンドイッチを食べることにした。
調理
<材料>
食パン(厚切り2枚)、昨晩のサラダ(キャベツとコーンのコールスローサラダ)適量、卵2個、マヨネーズ好きなだけ、コールスロードレッシングお好み、塩胡椒少々、想像力、わくわくする気持ち
<作り方>
1. 卵をゆで卵にする。つぶしてマヨネーズであえてサラダにするので、固め。小鍋に湯と水半々くらい入れて卵投入、沸騰してから8分くらい。時間はなんとなく計る。
久しく卵サラダしてなかったので、この時点ですでにわくわく。鍋の中で卵が踊るのを見てるのは楽しい。
2. 卵ゆでている間、食パンの耳を落とす。我が家の食パンは冷凍なので、固いが、焼く前に切る。なぜなら焼いた後だと熱いし、むやみに触るとへこむから。へこんだ食パンは、見ていて悲しくなる。
四辺を切ったら、三角になるように半分にする。サンドイッチといえば三角。母の作るサンドイッチは四角だったが、友人の持ってきていたサンドイッチが三角で、憧れた思い出。今日は食べたいものを食べるために作るのだから、ここは三角だろう。ざっくり切る。思ってたより小さいパンになってしまった。まあいいか。ちなみに、この時点で三角にしてしまったことを、後々後悔することになる。
落としたパンの耳は、フライパンで焼いて砂糖をまぶす予定。幅広のパン耳なので、縦に半分に切っておく。
3. パンを焼く。トースターに入れてチン。焦げ目はあまりつかないように見守りつつ。そうこうしていると鍋の卵も私を呼ぶので、双方を上手にあやすのが大事。
4. パンが焼けたら、まずはキャベツとコーンのコールスローサラダ(以下、昨晩サラダ)を挟む。
しかしパンの上にサラダを乗っけるも、具材が大きめにカットされたサラダのため、上手くパンに乗らない。しかもここで私は気付いてしまった、もしかしてサンドイッチの三角は、具をサンドしてからカットされた三角なのではなかったか、と。脳裏に思い浮かぶサンドイッチはどれも、具が綺麗に見えていた。あれは三角のパンに上手いこと挟んだのではなく、四角のパンに具を挟んでから、三角にしていたのか。なるほど、勉強になった……。と一人三角に思いを馳せていても、目の前のパンは四角に戻らないし、小さい三角パンに乗る具は少ない。残念。かつ今回は厚切り食パンを使用したので、ただでさえ少ない具をパンで挟んだら、サンドイッチにしてはパンが多すぎる。さらに困った。
ということで、今回は厚切り食パンをカットして薄くしたところに、コールスロードレッシングを少し塗り、サラダを挟むことに。せっかくの厚切りだけど、この方がたくさん具を入れられる。食べたいものを叶えるためには、多少の犠牲は仕方ない。
ちなみに、三角パンに四苦八苦している間に卵はゆで終わったので、氷水で冷ましておく。
5. 卵のサラダを作る。卵の殻をむき、深めの小皿に入れる。フォークで細かくなるまでつぶす。つぶし具合はお好みで。私は細かいのが好き。混ぜている間に塩胡椒を少々。細かくしてから、マヨネーズを入れる。その方が満遍なく混ざる、気がしている。
6. 卵のサラダができたら、パンにサンドする。先ほど同様、半分の薄さにして、パンに塗る。半分にしたパンの表面はふわふわしっとりしているので、細かくてマヨネーズベースの卵サラダは非常に相性がいい。パンの両側にべったりして、サンド。おいしそう。
7. 少し味をなじませるため、サンドイッチは平皿に乗せ、待機しててもらう。その間、パンの耳を甘くする。
フライパンにやや多めの油をひき、加熱。耳の白い部分を下にしてフライパンに乗せる。パンが油を吸って焦げ目が付いたら混ぜて、全体をなんとなく焼く。ちょっと火加減を誤ったので、所々黒くなってしまった。ま、これも大人の味か。
皿にのせ、砂糖をまぶす。私は甘党なので、満遍なくきっちりふりかける。キビ糖だから茶色くて、焦げ目が目立たなくなった。なんかおいしそうに見える。よかった。
8. お茶の用意。コーヒーか紅茶か……と悩んだが、早く食べたい気持ちが抑えきれなかったので、常備の麦茶に決定。
撮影
サンドイッチとパンの耳を並べて、写真撮影。SNSに気合を入れて取り組む系ではないので、記念撮影というか、証拠写真に近い。いつものことだ。昨晩サラダの方はどうも「映えない」が、私にはおいしそうに見えるのでそれでよし。
いただきます
まずは卵サンドから。大口開けてかぶりつく。これでもか、と卵サラダを挟んだので、パンの存在感が薄いが、卵とマヨネーズのハーモニーが口いっぱいに広がるので、ご満悦。あっという間に平らげる。たった三口。薄茶じゃあるまいし。
次は昨晩サラダサンド。こちら、具材一つ一つが大きく味があるので、具はやや少ないものの、パンに負けていない。見立て通り、おいしい。このあたりで頬が緩み、幸せが湧いてくる。ふふふ。
食事の途中だが、パンの耳を食べる。甘い。ほどほどに油分があって、砂糖がある。パクパクつまめる手軽さが末恐ろしい。やるなお主。心でほめると、パンは苦みで応えてくれた。焦がしてごめんて。
感想
気付いたら皿には、途中落としたコーンが2粒と、パン粉まじりの砂糖しかいなかった。みんな、我先にと胃に飛び込んだ。ありがたや。
そして満腹感とともに、小さいけれどたしかな幸せを感じた。食べたいものを食べた、という満たされた気分と、自分で叶えたという誇りが、そうさせたのだろう。思っていたより、気分がよくなったので、成功、いや大成功といえよう。
当分は残業が続く予定で、ちっとも豊富でない売店でおにぎりを選ぶ日々は変わらないだろう。しかし休日に、ひそかな楽しみができたことで、少し、わくわくすることができそうだ。
次回は、ナポリタンかフライドポテトの予定。買うか、作るか、わくわく。楽しみは尽きない。
あとがき
サンドイッチのあと、ハーゲンダッツ(ヘーゼルナッツプラリネショコラ、新発売。こってりおいしい)・ナッツ小袋1つ・せんべい1枚・カルピス・クッキー1枚を食べた。心は満たされても甘いものは別腹なのだ。ちなみに、夕食もいつも通りしっかり食べたので、ご安心ください。