人生棚卸 言いたいことはありません

実は僕は猟師になることができる。しかし未だに一度も出猟したことはない。その当時はなんでもいいから興味が持てたらやってみようという気持ちでいたので、とある漫画を読んで、あ、狩猟免許取ろう!と思ってしまった。思ったら最後でどうやったら猟師になれるのか調べ始めた。こんな些細なことは県のホームページを見れば詳細な情報をすぐに得ることができた。思うは招く、とはいうけど僕が仕事終わりに車でラジオを聞いていると狩猟免許取得の為の講習があることが分かった。それも近いうちにだった。僕はネットを通じてすぐに申し込んだ。

暑い日だった。僕は仕事があると妻に嘘を言って講習に出かけた。そこには年齢も性別もバラバラの10人程度がいた。女性は2人だった。暇つぶしの老人もいたようだが、ほとんどは真剣に猟師になろうと考えている人達だった。そこでは座学から始まり、猟銃の構え方まで幅広く学ぶことができた。僕は大満足で帰った。

正式に狩猟免許の取得試験に申し込み、送られてきたテキストで勉強を始めた。狩猟していい動物かダメな動物か、ほとんど忘れてしまったけど、罠の設置方法などを自学した。試験の日は暑い日だった。またしても妻には仕事に行くと嘘をついていた。試験自体は順調に進んだ。数多くの受験生がいた。女性もそれなりにいたことを覚えている。

午後に合格発表があった。僕はなんとかパスすることができた。これで猟師になることができる。そう思うと嬉しかった。サラリーマン猟師の誕生である。周りをみたらそれはそんなに珍しいことではないかもしれないけど、年々猟師の数が減っている現在では何かに貢献できるかもしれないと思った。害獣駆除など。それに一つの事をやりとげたという小さな達成感があった。ほんとはただ免許を取得しただけで何もしていないのだが。

履歴書には書けない資格を一つ取得した僕は意気揚々だった。しかし僕は忘れていた。これから本当の猟師になるためには猟銃の免許を取る必要があることを。そしてそれが狩猟免許よりはるかに難しいってことを!

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