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「分人」についてのまとめ

(2020/5/23に書いた文章)

『私とは何か 「個人」から「分人」へ』平野啓一郎著

皆さんは、何歳まで親とスーパーに買い物へ行っていましたか?私は少年期、母と行ったスーパーでセーラームーンのソーセージをねだり、それを持ち歩いていたら学校の友達と会ってしまい何とも気まずかったのを覚えています。親と居る時の自分は学校での自分と違うという事を無自覚に知っていたのでしょう。同様に映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では高校1年生の娘が母親と自転車の2人乗りで登校する事を拒みます。
今日は以前読んだ本の内容、つまり、分人の話をしたいと思います。

●個人と分人の違い

まずは本の副題にもなってる「個人」と「分人」の違いを紹介します。
個人というのは「人は1つの個体であり、それ以上分けられない」という考えです。つまり何に対しても「自分」として接するということです。
他者やコミュニティによってキャラクターを使い分ける事をよく仮面と言います。哲学用語でいう「ペルソナ」ですね。これらは内側に「本当の自分」がいる印象を与えますし、仮面を意図的に選んでいる感じもします。

それに対して分人とは「人は他者/モノ/コトに対して異なるキャラクターを持っており、その全てが本当の自分である」という考えです。親と居る時の自分、友達と居る時の自分、趣味に打ち込む時の自分、そのそれぞれが分人であり、その全てが本当の自分なのです。そしてその分人は意図的に演じることも、選ぶことも出来ない自然発生的な存在で、それぞれの分人は他の分人に影響を与えます。


●分人の発生メカニズム

分人はどのようにして生まれるのでしょうか?例えば初対面の人にいきなり「キスしていい?」なんて恋人との分人で話しかけたら嫌われます。初対面同士では「社会的な分人」で接し、相手との共通項によって関係が深くなり、「その人に対しての分人」が形成されます。映画『海街diary』では異母姉妹に引き取られた広瀬すずが社会的な分人から家族の分人へと、徐々に心を開いていく様子が描かれています。


●他者と分人

分人はその対象あってのものです。もしあなたに嫌いな人がいるなら、相手のその分人もまた、あなたによって形成されたものなのです。
さて、あなたがその対象に抱く感情は、その対象にだけ向けられた感情なのでしょうか?
一緒に居て心地よいと感じる人がいるなら、あなたはその人に対する自分の分人を気に入っているでしょう。ランニングが趣味のあなたは、タイムを縮めたり距離を伸ばしたり、成長する自分の分人に喜びを感じているはずです。

●分人を選ぶ

分人が自分を構成するなら、その構成比率もあります。分人は、その分人でいる時間を増やすことで構成比が大きくなります。仕事好きな人は仕事の分人を増やすでしょう。逆に、嫌いな分人は消してしまっても良いのです。あるコミュニティにいるとツラいと感じているなら、その時間を短くすればいいのです。嫌いな分人の影響を他の分人に与えてはいけません。上で話したように、自分の分人を心地よく思う事が大事です。好きな分人を好きでいろ。増やせ。

●悩みと分人

私が分人という考えに惹かれたのは、これによって大抵の悩みが解決出来ると思ったからです。
*彼氏がかまってくれない
*彼女の友達と会ったらキャラが違った
*会話が成り立たない男を好きになった
*どこからがセクハラ?
*まだ見ぬ自分を知りたい
今回紹介した内容は一部に過ぎません。詳細はぜひ本を読んでみて下さいね。

それではお聴きください。
Oh My Love / ZARD

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