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『読む』ラジオ、知らないラジオ、『飲む』ラジオ


フクロウじゃなくて人間だった

九月という芸名を名乗って久しい。人前でコントをすることと、時たまエッセイなど文章を書くことを生業としている。

「コント」とか「エッセイ」とか言うとかっこよく聞こえるけれど、正直に言って僕のそれらは人前でケツを出しているだけに等しい。たまに真面目くさったことを言うのも、だいたいその後でケツを出すためである。

意外にもメシが食えていて本当に意外だ。そんなもんが生業になる時代に生まれてよかったなと思う。鎌倉時代に生まれていたら、偉い人の前でケツ出して斬られていたんだろうか。さすがにもう少し分別があるだろうか。でも鎌倉の自分を信じられない。これは僕がアホだとか、そういうことでもない。人間が一人残らずアホなのが悪い。

人間はみんなアホだ。人間は人間である時点でみな愚の骨頂にいる。僕もまた人間な時点で愚の骨頂にいる。人間なんか、どうせみんなどこかでケツを出している。出そうとして出していたならまだマシで、どうせ勝手に出ているからタチが悪い。どれだけ澄ました顔をしていたとしても、本人にさえ見えないところで無自覚なケツが出ている。

芸人という仕事のよいところの一つに、無自覚に出てしまうケツのことを、さも自覚的だったかのように振る舞えることがある。

先ほどからケツを出す、ケツを出すと連呼しているが、人間は自覚的にケツを出せるほど賢くない。実際にはただケツが出ていることがほとんどである。

人間じゃなく、フクロウになりたかった。フクロウにはケツがない。出すとか、出るとかって話じゃない。ケツがない。

もちろん、ここで「フクロウ」とは僕にとってのフクロウのことであり、実際には何のことでもいい。「芸人」「ケツ」「人間」「アホ」あたりも同様である。どれが何のことでもいい。僕はすべてのことを書いている。

「『読む』ラジオ」をやっている

2019年頃から、僕は「九月の『読む』ラジオ」というTwitterアカウントをやっている。質問箱に寄せられるおたよりに答えていく形式のアカウントである。名前の通り「文字媒体でのラジオ」というイメージで運営していて、回答のラストにはおすすめのコント動画を添えるルールがある。

開設当初から1〜2年ほどは、不定期かつ適当に回答する感じで、ファンコミュニティ的な意味合いが強かった。フォロワーも数百人しかいなかったし、「仕事」という感じもなかった。それはそれで心地よかったけれど、誰かに見つけてもらうための場所ではまるでなかった。

それが最近では、九月が外へと開かれるための玄関口になった。2024年6月現在でフォロワーが3万人超いる。「リスナーが3万人いるラジオを抱えている」と考えると、結構デカくてびっくりする。「仕事」っぽさがある。

ただし、現状の読むラジオは、「九月ファンが読んでいる」という感じではない。言うなれば「読むラジオのファンがいる」あるいは「九月ファンになるかもしれない人たちが読んでいる」という感じである。

玄関口として機能し過ぎた結果、だんだん別の建物みたいになりつつある、という感じ。玄関に住むつもりはないのが考えどころ。

でも、読むラジオが大きくなるのは我ながら納得できる。読むラジオの文面は、なんせかなり気合を入れて書いている。類似のサービスがインターネットにはたくさんあるけれど、そのどれよりも気合いが入っていると思う。

加えてなんてったって、僕はおたよりの最後に回答者自らのコントを添えているのだ。顔出し、声出しはもちろん、何かを実演してまで回答しているアカウントが他にあるだろうか。あるいは芸人でも歌人でもバンドマンでも、いちいちファンサービスとして自分のネタやら歌やらを添えながら長文を返し続けている奴がいるだろうか。

いるわけない。みんなそんなに素早く文章を書けない。そこまでの体力もない。あとそこまでみんな人が好きじゃない。諸々の理由によって、僕にしかできないコンテンツだと思う。

だから、今後もフォロワー数は伸びていくんだろうなと思う。そもそも「読むラジオ」というパッケージにした当初の思いつきがたいへん優れていたのもあるな。読むラジオってコンセプト、他の誰かが先に思いついていたら悔しがったと思う。それくらいよい。

実はあんまりラジオを知らない

しかし実のところ、僕はラジオにほとんど触れずに育った。だから読むラジオどうこうの前に、もともとの「ラジオ」をあんまり知らない。

誰かのする「中高生の頃、深夜に芸人さんのラジオを聞きながら過ごしていて…」みたいな話を聞くたび、青春に忘れ物をした気分になる。生活の中にラジオの文化が全くなかった。じゃあ深夜に何をしていたって、ぐっすり寝ていた。本当に恥ずかしい。ラジオを聞いてる若フクロウになりたかった。

僕がお笑いにハマったのはネタからだった。どちらかというと「ネタのみにハマった」というのが近いかもしれん。なにぶんそういうルーツなもんだから、ラジオがどういうものなのか、正直なところ今でもあまりわかっていない。

で、そんなふうに始めた「読むラジ」が大きくなってしまったもんだから、スピンオフ的に動画でおたよりに返答していく「九月の『観る』ラジオ」とか、飲みながら質問に答えていく「九月の『飲む』ラジオ」とか、読むラジオに寄せられたおたよりに返信するさまをコンテンツ化した「九月の『読む』ラジオ公開執筆」とか、色々な派生もやってきた。

が、どういうわけか、一回も「九月の『聞く』ラジオ」をやっていない。やりゃいいのに。正直とってもやりたいのだけど、もう少し取っておこうかなと思っている。

『飲む』ラジオをやる

そういうわけで、もうすぐ「九月の『飲む』ラジオ」というイベントをやる。6月8日、兵庫県三田市のChild-Childさんにて、みんながお酒を飲む中で、トークをしたりコントをしたりするイベントである。

読むラジオのオフ会と言ってもいいし、コントライブの要素もあるし、トークライブの要素もある。時間は驚愕の8時間。開催期間中の入退室は自由である。フクロウのみなさんも、人間のみなさんも来られますように。会場は梅田から40分ほどの位置にある三田市、駅前すぐのお店である。

ちなみに、このイベントの前にも後ろにもコントライブがある。コントに関心のある方は、そちらのライブにも来られたし。

各種ライブの詳細は以下。

6.7(金)「第170回単独公演 名古屋公演 森は滝の1000倍#2」
時間:①18:00‐19:30②19:45‐21:30
場所:森の会議室
(名古屋市中区丸の内三丁目16−19 丸の内ニューネットビル9階)
料金:各2000円
内容:3ヶ月ぶりの名古屋遠征。名古屋のだいぶど真ん中にある「森」で行う90分のコント公演。絶叫してもいい会場なのでパワー系の内容になる予定。なお、1公演目と2公演目は別内容。
https://tiget.net/events/311746

6.8(土)「第171回単独公演 門戸公演 Vol.1」
時間:①13:00‐14:30②15:30‐17:00
場所:門戸寄席 J:SPACE
料金:各1500円、通し2000円
内容:兵庫県西宮市の会場、門戸寄席さまから招待して頂いての定期公演。この時点でめっちゃよくないですか。初めて九月を見たい皆さんや、いい加減に寄席小屋でも九月を見たい皆さんどうぞ。予約は門戸寄席の安田さま(jspace_event@yahoo.co.jp)まで。

6.8(土)「第172回単独公演 九月の『飲む』ラジオ WEST」
時間:19:00‐27:00
場所:兵庫県三田市 Child-Child
料金:1500円(+1drink)
内容:ボドゲバーChild‐Child主催イベント。九月を囲んでお酒を飲みながら、トークをしたり、コントを観たりする「読むラジ」のオフ会です。YouTubeの企画動画撮影、秘蔵動画の上映なども行います。会場にて宿泊が可能です。

6.9(日)「第173回単独公演 三田の15時間」
時間:14:00‐29:00(翌朝5時)
場所:兵庫県三田市 Child-Child
料金:入場1000円/応援入場2000円
内容:予約不要、開催期間中はいつでも入退場可能なデタラメのコントライブ。九月はずっと何かをやっています。僻地と思えますが意外にも梅田から40分。

6.13(木)「第174回単独公演 九月の話芸 自由形 #7」
時間:19:00‐20:30
場所:オフィスunbuilt
(東京都杉並区高円寺南2-22-6 2F)
料金:1000円
内容:90分のトークライブ。なんでも喋る。終わってからはお客さんからの質問に答える時間アリ。そこからはいつ帰ってもよい。
https://tiget.net/events/323128

6.15(土)「第175回単独公演 静岡県東部界隈」
時間:15:00‐29:00(翌朝5時)
場所:駄菓子カフェせせらぎ
(静岡県三島市芝本町7−6)
料金:入場1000円/応援入場2000円
内容:こちらも予約不要、開催期間中はいつでも入退場可能なコントライブ。九月はずっと何かをやっています。静岡県東部界隈の皆さんにお越し頂きたい。ちなみに東京・神奈川からもそんなに遠くなかったりする。一晩見れます。

6.22(土)「第176回単独公演 東京スケープゴートクラブ」
時間:18:00‐19:30
場所:渋谷松濤BASE
料金:1500円+1drink
内容:新ネタを中心にした渋谷での定期コント公演。東京でスケープゴートにされてしまった人たちのコント15本。
https://tiget.net/events/321176

6.28(金)「第177回単独公演 九月の生活ライブ」
時間:0:00‐24:00
場所:オフィスunbuilt
(東京都杉並区高円寺南2-22-6 2F)
料金:1000円
内容:人間の生活はどこまで生活なのでしょうか。見られても生活は成立するのでしょうか。疑問に思ったので行う、九月が生活するのを眺めるライブです。ご飯を食べたり、仕事をしたりします。話しかけられたら友達と話す感じで応答します。予約不要。開催期間中はいつでも入退場可です。

6.29−30(土)「第178回単独公演 高円寺九月展・初夏」
時間:各日12:00‐22:00
場所:高円寺BLUE MOON
(東京都杉並区高円寺南3−23−16 2F)
料金:入場1000円/応援入場2000円
内容:ギャラリーを舞台に、壁一面にコントタイトルを張り出し、まるで脳内に入り込んだかのような臨場感ある魔界演出のコントライブです。20時間かけて200本のコントを上演します。予約不要。開催期間中はいつでも入退場可です。

6.29(土)「第179回単独公演 九月の怪談 自由形」
時間:22:00‐23:00
場所:オフィスunbuilt
(東京都杉並区高円寺南2-22-6 2F)
料金:1000円(高円寺九月展に参加の方は無料です)
内容:九月による人生初の創作怪談ライブです。雰囲気のある和室で怪談を話します。九月の思う自由形の怪談を準備します。
https://tiget.net/events/323131

7.14(日)「第180回単独公演 生きている感」
時間:開場17:45/開演18:00/閉演19:30
場所:四谷シアターウィング
(〒160-0011 東京都新宿区若葉1丁目22−16 アスティー B1F)
料金:2000円
内容:「生きている感」全開で挑みたいコント15本。ものすごくパワフルな内容になる予定。珍しく小劇場での公演。
https://tiget.net/events/319238

サポート頂けた場合、ライブ会場費、交通費などに宛てます。どうぞよろしくお願いいたします。