48時間軟禁されてコントを数百本やり続けるライブをたまにやっている話
九月というピン芸人がいる。僕だ。はじめから意図してそうなったわけではないが、現在、かなり変わった芸人活動をしている。
九月はどんな芸人なのか
そもそも芸人なのか
まず、僕は芸人と名乗っているけれど、芸人であるかはかなり判断が難しい。そもそも芸能事務所に所属していない。さらに、養成所に通ったこともないし、かといって大学お笑いサークルの出身でもない。誰かに師事したこともないし、お笑いに関するあらゆる教育を受けていない。
それどころか、いわゆる企画会社や制作会社が主催している種々のライブにも出演しておらず、メディアのオーディションの類にも全く出ていない。地下芸人とか野良芸人とかいうレベルではない。ふつうに無法者である。
芸人じゃないならないでいい
ここまでの条件を満たしつつ、芸人だと名乗っているのは、恐らく日本に僕だけである。誰かが「そんなの芸人じゃない」と言うならば、それは全くその通りだ。否定する材料が一つもないから、ふつうに言い負かされると思う。
それどころか、そう言って貰えるなら嬉しくすらある。なにせ、その場合芸歴が常に0年目になるため、永遠にフレッシュで都合がよいのだ。なんならバンバン言ってほしい。
いつかオーディションの類に出たくなったとき、物凄く得をする。堂々と「芸歴一年目です！」と言える。（しかし僕は知っている。世間は相手が得をするような悪口を絶対に言わない）
九月は何をしているのか
活動の基本パターン
僕の活動の大半は、自主企画の単独公演だ。年間1000本前後のペースでコントを作っている。ほぼ毎週末、新ネタを15-20本前後披露する公演を開催してきた。
そこで披露したコントをもとに、各地で「48時間軟禁ライブ」とか「72時間軟禁ライブ」とか、不眠不休で数百本コントをやり続けるだけのライブを行う。そしてコントを練り上げていく。これが基本的な活動スタイルである。過去の軟禁ライブの映像がいくらか残っているので、少し貼っておこう。大体どれもめちゃくちゃ声が枯れている。
こうした活動は、全て僕が勝手にやっている。だから設営も受付も全て自分で行う。会場は正規の劇場とは限らない。ホール、アートギャラリー、スタジオ、バー、スナック、喫茶店、民家、オフィス、廃墟、遊園地、離島、山中、地面と酸素がある場所ならどこでもコントをしてきた。環境が一定でない都合から、衣装、照明、音響、小道具などを原則的に用いず、ただ僕がそこにいれば可能なコントしか作らないことにしている。
なぜそんな活動をするのか
こうしたライブの質と量は、恐らく古今東西のお笑い芸人の中でもダントツで素っ頓狂である。なぜこんな馬鹿げた都市伝説のような活動をしているかというと、ハイになりたいからである。
ハイになるのは楽しい。ハイになるためには物量が要る。だから自分の体力の限界すれすれの物量で活動しなければならないのだ。
幸か不幸か、僕には人一倍体力がある。ちょっとやそっとじゃ倒れない。さらに僕は人一倍正気である。ちょっとやそっとじゃハイになれない。したがって、ハイになるためには数日軟禁されなければならないのだ。
一部の過激な宗教は、過酷な修行を行うことで、脳から何かしらの物質を出させて強制的に神秘体験を引き起こすのだという。昔、信用できるウェブサイトで読んだ。たぶん本当なのだろう。僕はそういうことをしている。
「奥」の領域
実際、軟禁状態でコントを何十時間も繰り返していると、だんだんに自分とコント中の登場人物の境界がぼやけて、虚実が曖昧になる瞬間がある。
僕にとって「ハイ」の正体とはそれであり、個人的には「奥」と呼んでいる。「奥」に到達すると、全てのコントが3段階良いものになると感じている。
以上をまとめると、僕は「奥」に行くために定期的に軟禁されている芸人である。
もっとメディアが食いついてしかるべき活動のはずなのだが、「奥」とか「軟禁」とかほざいている怪しさのせいで、未だ広く取り上げられていない。早くフレッシュじゃなくなりたい。
11/5-6の「48時間軟禁ライブ」（兵庫県）の告知
そういうわけで、11/5-6の48時間、兵庫県尼崎市にあるふつうのシェアハウスを使わせて頂き、48時間の軟禁ライブを行う。
ルールは簡単で、48時間ほど僕が会場から出ずにコントをする。お客さんは出入り自由である。入場料は1000円、応援込みなら2000円。
僕は飲食物について、お客さんから頂く差し入れだけを摂取できる。入浴時のみ、コントを適宜中断する。このルールのもと、全部でコントを500本くらいやる。
48時間の軟禁ライブだと、平均して「奥」
に1～2回行ける。どうかその瞬間を見に来てほしい。当たりが出れば、かなり珍しいものが見られると思う。
ライブの参加希望者用のフォームを投げてこの記事を終える。たくさんの人にコントを見せられたらよいなぁ。
YouTube「九月劇場」毎日コント更新中。
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