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ひざが深く曲がるということ

今回は膝関節が深く曲がる上で重要な運動と解剖についてまとめていきたいと思います。理学療法士の皆さん、外来リハで、しゃがみこみたいや製剤したいけど、深屈曲時に疼痛を訴えることがありませんか?

深屈曲の獲得には、重要なポイントがいくつかあると考えているので、ここで整理いたします。文献的にまだ、十分に報告されたものだけでなく、やや、解剖学的に知見から推察している部分がありますのでご注意ください。


日本人のQOLへの影響

日本人にとって正座は重要な動作になっています。

早期・初期膝 OA 患者で JKOM 総得点が高く QOL に支障をきたしている者は, 膝屈曲 ROM 制限があるという特徴を有していた。 膝屈曲 ROM が QOL に与える影響としては,JKOM が日本特有の生活に関連していることが原因と考える。

種継真輝, 寺山佳祐, 他:早期・初期変形性膝関節症患者における生活の質に影響を及ぼす因子の検討, Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy Vol.9,No.1:13-17,2019

この論文の報告からも、膝関節屈曲角度が重要であるかを示しているかと思います。

💡ポイント1 ざっとした深屈曲時の運動学の理解。

では、さっそく始めていきましょう。まずは、膝関節が深屈曲する際の関節の動態について理解していきます。深屈曲の定義は様々ありますが、今回は膝関節屈曲130°以上とします。

最大屈曲において大腿脛骨関節内側面は、大腿骨内側顆が内側半月板後角を乗り上げるように2-5㎜の関節離開が生じる。外側面では大腿骨外側顆が亜脱臼する程大きく、後方へ移動し、それに伴い外側半月板も移動する。膝蓋骨は屈曲115°以上では、大腿骨顆間窩にはまり込む。膝蓋骨脂肪体は前十字靭帯と後十字靭帯によって前方へ押し出されるよう膝蓋骨下に移動し膝蓋大腿関節の除圧の役割を果たす、深屈曲位において後十字靭帯が顆間部で前方凸となり、同部で後方インピンジメントがおこる。


林 典雄, 他:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション 改訂第5版, 整形外科リハビリテーション学会(編), 東京, 2014,

💡ポイント2 深屈曲に伴った膝前面組織の動きを整理

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