【書評】トルーマン・カポーティ『夜の樹』
冬の日に楽しめると勧められて初めて手にしたトルーマン・カポーティ『夜の樹』。短編集は彩り豊かなものだと思っていたが、読んでみると白い雪と夜の闇に囲まれたモノクロームの世界だった。
初老の未亡人であるミセス・ミラーが雪が降るなか出かけた映画館で出会った少女の名前をタイトルにした『ミリアム』。シルバーホワイトの髪に華奢な身体をしたミリアムが、風変わりなところを気にしながらも、ちょっとの親切心を働かせたばかりに、それからミセス・ミラーの孤独な生活にミリアムと恐怖がじりじり足を踏み