インスタで人気の写真家・宮田飛雄さんに聞く、有料記事を販売するコツ
宮田飛雄さんはプロの写真家として、日本とロサンゼルスを拠点に活動しています。友人たちからの要望で、英語の学習方法にまつわる有料記事をnoteで販売したところ、かなりの人気記事に。公開から1ヶ月以上経ったいまでも毎日5〜10人に購入されているそうです。
「想像をはるかに上回る反響だった」と語る宮田さんに、記事の公開前に工夫したポイントや、Instagramを活用した宣伝方法について聞きました。
カメラの前で話すより、文章で伝えたい。
——まずは宮田さんについて教えてください。現在は日本やロサンゼルス(LA)などでインスタグラマー、フォトグラファーとして活動されているんですね。
宮田飛雄さん(以下、宮田):はい。ただ、写真は完全に独学で、本格的にカメラを持ちはじめたのは3年前です。母がずっとつかっていたフィルムカメラを、留学先のLAに持って行ったのがきっかけです。
高校生のころから漠然と「かっこいい写真を撮りたいな」とは思っていましたが、それまではInstagram用に撮っては加工して、という感じでした。そのうち「これ、なんだかいいじゃん」と思うような写真を撮れるようになって、どんどんハマっていきました。
ちなみに海外留学も写真が目的というわけではなく、大学で社会学を専攻していたので、その勉強のためです。
最初はInstagramをたのしんでいたところからカメラを持ちはじめ、だんだんと表現するのがおもしろくなって。撮影した写真を販売したり、フォトグラファーとしてYouTubeやTikTokといったソーシャルメディアでの発信もはじめたりするようになりました。
——noteでは英語学習の有料記事がとても人気でした。書く場所として、noteはどうやって選んだのでしょうか。
宮田:写真家の横田裕市さんがnoteに「写真家の仕事とは」みたいな記事を書いていまして、半年くらい前に僕もそれを読んで横田さんにコンタクトをとって、お話しさせてもらったことがありました。
そのときに「noteっていうメディアがあるんだ」と知って、自分でも何か書いてみようかなと思いたちました。
ちょうど周りの友人たちから「YouTubeで英語学習の動画がほしい」と言われていました。でも僕のつくるYouTube動画は「Vlog」という形式で、日常を切り取った内容になっています。
カメラに向かってまじめに話すのはどうも苦手で、いろいろ考えた結果「これはnoteで書くしかないな」と思いました。
約2ヶ月の修正を重ね、Instagramで記事を宣伝
——有料の記事をつくるときに、何か取り組んだことはありますか?
宮田:記事は約2ヶ月かけてブラッシュアップしました。多くの友人に読んでもらって、「記事を読んでどう思う?」「買いたいと思う?」など、率直な感想をもらいました。
最初に記事を書きおえたとき、僕は結構いい感じに書けたと思っていたんですよ。でも友人に読んでもらうと、やっぱりいろんな問題が出てきました。
「この表現は変えたほうがいい」など、細かい部分までフィードバックをもらいましたね。その後もいろんな意見を素直に受け入れて、直して、を繰り返しました。
記事を読んでもらう友人も、まったく英語がわからない(興味・関心のない)人から、いま英語を勉強中の人、バリバリ英語を喋れる人と、3タイプくらいの方に見てもらいました。
そこで、やはりターゲットになるのは「いま英語を勉強中の人」だと思ったんです。なので、その層にいる友人には、さらに話を聞きました。
——記事の告知には主にInstagramをつかっていました。これはどうしてですか。
宮田:フォロワーの質を考慮しました。ほかのSNSをつかって宣伝することも考えたんですけど、僕の場合、Instagramとの相性がいいと感じていました。
今年の1月頃には僕のインスタフォロワー数は3万人くらいだったんですが、「リール」という短尺動画を投稿してから一気にフォロワー数が増えたんです。いまは約15万人になっています。それだけの人が見てくれているならば、その場を生かそうと思いました。
ただInstagramにはリツイート機能がありません。あまり売上にはつながらないかも、と思っていたら、予想に反してすごい勢いで売れていきました。
——Instagramでは、みなさんストーリーズのリンクから記事を購入しているのでしょうか。
宮田:はい。最初はストーリーズからの購入者が多かったです。ストーリーズをあげた5分後くらいからポンポンと売れはじめました。
ここ2、3週間はストーリーズでも宣伝していないんですけれど、プロフィール欄にnoteへのリンクを貼っているので、そこから購入してもらっています。
記事の公開から約1ヶ月たった後も、まだ1日に5〜10人ほど購入してくれています。
予想以上の売れ行き。ポイントは「無料ゾーン」
——実際にnoteで有料記事を販売してみて、どうでしたか?
宮田:予想を大きく上回って、多くの方が購入してくれました。InstagramのDMでもよくメッセージをもらいます。僕の記事の大きなメッセージは「英語学習は近道しちゃいけない」というものだったんですが、その言葉がモチベーションにつながったと言ってもらえて、うれしかったです。
やはり英語は人気コンテンツなんだと思いました。僕もSNSをはじめてから、日本人の英語に対する需要は大きいと感じていましたが、あらためて実感しました。
とくに日本では、英語を実際に話す「アウトプットの機会」が全然ない。どちらかというと、インプットできるものを求める傾向にありますよね。そういった背景もあって、今回は売れたのではないかと思います。
——記事の序章、無料部分だけで5000字ほどあります。かなりのボリュームでしたが、なぜでしょうか。
宮田:記事の序章はとても好評でした。じつはどんな分量になったとしても序章は無料にして、すべての読者に読んでもらおうと最初から決めていました。
公開前に修正したとき、第2章に書いた内容を、ポンッと序章に持ってきたんです。フックというか、グイッと心をつかむような本質的なところまで書いちゃったほうがいいんじゃないかと思って。
これはまったく英語が話せない友人からのフィードバックだったんですが、「俺は序章を読んだだけだと、買いたいと思わないかも」と、言われました。それで序章の段階でしっかりと書き込むようにしたんです。僕にはない客観的な意見で、とても助かりました。
——noteのつかいやすさはどうでしたか?
宮田:自分で記事を書いて、そのまま販売できる手軽さがよかったです。当初は書籍化なども考えましたが、そうなるといろんな大人が動いて……と、そう簡単にはいかないと思います。
noteだったら印刷をしないので、紙をつかうこともないし、結果的にコストもそんなにかからない。そういった面で、やはり手軽でいいなと感じました。
有料記事の第2弾も構想中。今後は活動範囲を広げたい
——今後の活動について、計画していることはありますか?
宮田:写真展の開催なども視野に入れて、活動していきたいですね。将来的にはホテルや旅行会社から写真撮影の依頼が入ればうれしい。さらにその撮影地が海外だったら、最高です。
ほかにも雑誌の表紙を撮ったり、アーティストとコラボしてアルバムのジャケット写真を撮ったり。僕は比較的、人物を撮影することも好きなので、今後はそういったことにも挑戦していきたいです。
noteの有料記事は第2弾を考え中です。また何らかのかたちで公開できたらいいなと思います。
多くの人が英語を話したいと思っているけれど、実際に自分で満足できるレベルに達する人は、ほんの一握りだと思います。僕自身もまだ英語のレベルは十分とは言えないし、目指すところはもっと高いところにある。
でも実際は、相手とコミュニケーションをとることが一番大切なんですよね。インドやいろんな国をまわって感じたのは、英語が話せなくてもコミュニケーションはとれるということ。
英語の発音や流暢さも大切ですが、結局のところ、言語は相手と意思疎通を図る手段にすぎません。だから考えすぎずに、気楽に英語を話してもらえたらと思います。
宮田飛雄さん
note:https://note.com/hugh_miyata
Instagram:https://www.instagram.com/hughmiyata/
ポートフォリオ:https://www.hughmiyata.com/
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