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「cakes note フェス‘18」レポート 2日目③ #cakesnotefes

6月29日、30日の2日間にわたって開催した“cakes note FES” 。今回は、2日目午後(後半)のレポートをお届けします! 

第2回 リアルやれたかも委員会

本フェスもいよいよ終盤、吉田貴司さんの大人気コミックをリアルで行う「第2回 リアルやれたかも委員会」の時間です。朗読/司会進行をTBSアナウンサーの向井政生さんにお願いし、審査員に、はあちゅうさん、ワタナベアニさん、林伸次さんの3名をお招きしました!

審査員と会場の一部の方に「やれた」「やれたとは言えない」の札を配り、4つのCASEを判定していきます。

男性視点で少し甘めな(?)林さんに対し、女性視点ではあちゅうさんから鋭い名言が飛び出します……!

やれた夜と、やれたとはいえない夜と、やってはいけない夜があるんですよ。見るからに童貞を呼んだのは、添い寝要因なんです。だからやってはいけない夜だった」
「キスはリトマス紙。上手い下手ではなく人間の深いところでの相性」
この世に気づかずに終電を逃す女はいない
「男のなかに一番印象に残る女は、やれそうでやれなかった女なんですよ」

途中、名乗り出た投稿者をステージに呼び、質問攻め&アドバイスをするという思いがけない展開になりながら、最後はワタナベアニさんのしめの言葉で、幕を閉じました。

「彼女もあのとき素敵な夜を過ごしたと感じながら、今どこかの街で暮らしていたなら、いい“やれたかも”だったかもしれない」

「心のベストテン」公開収録

トリを飾ったのは、芸人、DJとして活躍されているダイノジ・大谷ノブ彦さんと、音楽ジャーナリストの柴那典さんによるcakesの大人気連載「心のベストテン」。「2018年の上半期の音楽」とその先の未来について語り合います。ふたりの響きあうナビゲーションをぎゅっと濃縮バージョンでお楽しみください。

21世紀の「文化戦争」−CULTURE WARS

 今日したいのは、「文化戦争」の話です! 10年前までは音楽が世界を変えられないという諦念があった。ジョン・レノンが「imagine」を歌った1970年代は、政治がメインで、ロックがアンチテーゼだったんです。

ところが今は、マーベルの『ブラックパンサー』が社会現象になり、#MeeTooがグラミー賞に選ばれ、ケンドリック・ラマーがピューリッツァー賞を受賞し、Childish Gambinoの「This Is America」(詳しくは柴さんのnoteの解説を)が3億回再生された。彼らは社会を変えている。つまり、文化が大勢になっていて、政治がサブカル、トランプがアンチテーゼになっているんですよ。

大谷 日本でも、今モテるのは経営者だし!

 60年代にカウンターカルチャーをやっていた人は、今だったら起業していますよ。そのほうが世界を変えられるから。Facebookのマーク・ザッカーバーグ以降、世界が可変になった。アメリカを中心に、それぞれが理想を実現するために戦っていて、その中心に音楽があるんです。

「This Is America」のようなものは日本ではやりづらいけど、NHKのW杯ソング・Suchmosの「VOLT-AGE」は歌詞をよく読むと実は、反戦ソングなんですよ。

大谷 Suchmosは、とにかく歌詞が熱い……! 韻を踏んでいるリズムミュージックで。日本語で韻を踏むとダジャレっぽくなるのに、ナチュラルで、ジョン・レノンとかオアシスに近い感覚なんすよ。メッセージと同時にフィジカルな体感としてのリズムも大事! 「すべてのお笑いはリズム芸だ!」と俺はよく言っているけど、音楽もそう! Suchmosは歌詞と声と韻が抜群!

 今W杯の曲をつくるのはめちゃくちゃ難しい。RADWIMPSの「HINOMARU」が軍歌っぽいと叩かれていますが、僕はいい曲だと思っていて。ただ筋が悪い。この曲は、本当は「災害から立ち上がる日本人」の歌なんです。たぶん彼らは、新しい愛国ソングを作ろうとして、「君が代」に引っ張られて失敗した。この曲はフジテレビのW杯の応援ソング「カタルシスト」のカップリング曲だから、「日出処〜」の歌詞の代わりに、サッカーで負けている選手の姿を描くべきだった。奮い立つ曲の裏側として、負ける姿、敗者の誇りを。

音楽とともに、20年先をご機嫌に生きる

大谷 最近はアジアが熱すぎる……! 韓国のBTS(防弾少年団)がビルボードで1位になったりね!

 これまでは英語圏で成功するためには英語で歌うのが常識だったのに、韓国語で歌って1位を獲った。もう日本語だからという言い訳は通用しない。中国のHigher Brothersも英語と中国語が混ざったラップで、88rising(スターを輩出し、世界中の音楽ファンから注目を集めているアジア発のメディアプラットフォーム)で紹介されて、一気に世界に広がった。

大谷 インドネシアのリッチ・ブライアンも、若干18歳でスターになった。驚くのは、彼、コメディアンなんですよ。

 てことは、日本でラップをやるべきは、吉本のお笑い芸人……!?

大谷 はい、その話ですよ、今日したかったのは! 経営者に唯一の勝つ方法は、ラップをやって、88risingに見つけてもらうことですよ! 

日本の人口は減っていくので、グローバルに市場を広げるしかない。今の20代前半は「洋楽」という概念はなく、音楽はかっこいいかかっこよくないか、好きか好きじゃないか。

 そう、日本という枠組みで考えている場合じゃない。僕は氷河期世代なんですが、本当の氷河期に突入するのは20年後。僕の人生のテーマは、その20年をご機嫌にやりすごすこと。

僕がやってきたことは、一言でいえば、凋落していく日本を読み替えること。だから「心のベストテン」では、多様性、多幸感、身体性、かわいげを語ってきたわけです。楽しく爛熟していく文化が、これからのご機嫌な20年をつくっていくんですよ。音楽はその先兵になる。いつの時代も音楽が次の時代の価値観を最初に鳴らしている。理屈じゃないから。

大谷 リズムだからです! 今、Suchmosがかっこいいのはリズムなんですよ! 俺らは、自分たちがご機嫌だと、世界がご機嫌だということを知っちゃったんだよね!

 これから20年、僕らはご機嫌に生きられる。音楽とともにあれば。

これにて、「cakes note フェス‘18」は終了! 実践から得た学びや知見、熱い思いを惜しみなく語ってくれたクリエイターのみなさま、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました! また来年、会いましょう!


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