余生は気楽に
今年の自分の誕生日は実家で過ごすことにした。
「産んでくれてありがとう」と、この日に直接母にこう言えたのは、もしかして初めてなのかもしれない。
そもそも若い時にはこんなこと思うはずもなく、誕生日とは、自分が生まれた日ではなくて母が自分を産んだ日だとしみじみ思うようになったのは、産んだ子供がある程度大きくなったのちのこと。その時はもう、こちらの家族で過ごしていたから、メールでしかその気持ちを伝える手段はなかった。
日付変わってすぐのわたしの言葉に、特に返事はなかったけど、母は出産の時のことを思い出しただろうか。
翌朝、姉からおめでとうのメールが届き、それに対して「高齢者入口の我々、残った時間を楽しく大切に過ごそう⭐︎」と返事をして居間に向かう。
すると、明るい朝の光を背にした父が、「誕生日おめでとう。やっと人生半ばに差し掛かったね。」と、ニコニコ(ニヤニヤ⁈)しながら私に言った。呆気に取られて笑ってしまった。
父は本当に面白い人なのだ。
そんな会話の中、言いにくそうに「いや、後半はとっくに過ぎてると思うよ」と顔をしかめて口を挟む母。真面目な人だ。
わたしは、自分自身の中の母の真面目な部分をどうにかして振り落とし、父のようにひょうひょうと生きたいと思っている。人生の終盤は、気楽に楽しくなくっちゃね!
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