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田原綾子さん(va)リサイタルが素晴らしかったです!の巻

素晴らしい音楽、素晴らしい演奏に感動すると、無性に誰かに伝えたくなります。

昨日は、"次はいつ記事を上げるのかな"、と自分で思っていましたが、いきなり書く気満々です。

はい。
行ってまいりました。

おそらく多くの方が認める日本の若手ヴィオリストのナンバーワン、田原綾子さんのヴィオラリサイタル@渋谷美竹サロン。

ピアノは、これまた若手で引っ張りだこの實川風(じつかわかおる)さん。

田原綾子さんを知ったのは、毛利文香さん(vl)、山根一仁さん(vl)、上野通明さん(vc)という桐朋出身の超絶ホープの仲良しさん4人が組んでいる、エール弦楽四重奏団のライブをテレビで見たときです。

そのときの毛利さんと田原さんの演奏が強烈に印象に残りまして、ただ、エールの演奏会が平日の昼間に神奈川県内で行われることが多くて観に行けず、個別の演奏会を追いかけていたのです。

田原さんを観るのは今回が2回目ですが、前回は上野通明さんの他、何人もの弦楽器奏者で「室内楽祭」という演奏会でしたので、田原さんメインの演奏会はこれが初めて。

9月末に今日と同じ渋谷美竹サロンで毛利文香の無伴奏リサイタルを観たことは昨日の記事にも書きました。

そのとき初めてこのサロンに来たのですが、キャパ50名という広くない空間で、演奏家が目の前で素晴らしい演奏を繰り広げてくれて、MCでは飾らずに曲の解説もしてくれて、終演後には、我々観客を見送りして会話までしてくれる。

いつもは舞台の上にいる演奏家が、ぐっと身近に感じられる特別な場所です。

しかも、今日は實川さんという素晴らしいピアニストと一緒に、ショパンのチェロソナタをメインに据えて弾いてくれる。

ショパン大好きで、私にチェロソナタの楽譜を「一生の課題曲ね」と渡してくれた娘。

本当は一緒に来る予定だったのですが、あいにく仕事が入ってキャンセル。

ひとりで参りました、こちらが美竹サロン。

確保した2列目の席から
こちらは入り口
ヘッダーとこちらの写真は、
田原綾子ヴィオラリサイタル 
於:渋谷美竹サロン プログラムより


いつもニコニコ笑顔の田原綾子さん、客席の後ろから、實川さんを後ろに伴って、いつものスマイルいっぱいでご登場。

彼女のスマイルはとても素敵で、誰からも愛されるだろうと容易に想像できます。

田原さんのMCがあって、最初の2曲の順が入れ替わりましたが、演奏が始まった瞬間、ヴィオラの深い中低音が素晴らしく、その音色で見事にフォーレとドビュッシーの歌曲を情感豊かに演奏されて、一気に心が鷲掴みされました。

フレーズが高揚したときには、頭の奥のほうが痺れるような、クラクラするような、その芸術に包み込まれるような…。

實川さんのピアノは、ときにヴィオラに寄り添い、ときにリードして、また田原さんのヴィオラも同様に。
そして二つの音という生き物が絡み合って、とてつもない芸術を蠢きながら形にしていくさまが、幻のように目に浮かびます。

ああ、なんという感動…。

前半のヴュータンのソナタまでそのテンションで、私はずっと天にも昇る心地でした。

今日来て良かった。

休憩を挟んで後半。

ロシア五人組の中で、最も名が知れていないキュイという作曲家の作品。

實川さんのMCで
「この中でキュイの作品を聴いたことがある方はいますか?」

すると、二人の男性が挙手。

「うわ!比率高いですよ!」
と實川さん。

私も初めて聴きました。

私が今日の演奏で聴いた印象では、悪くないけれど、すっと流れて心に引っかからなかったのですが、なんでもロシア五人組はそもそも音楽以外の仕事を持ちながら作曲をしていた人たちだそうで、

えっ!?
ボロディンやコルサコフやムソルグスキーも専業作曲家ではなかったの?

へー、、勉強になりました。

そしていよいよ、ショパンのチェロソナタ全4楽章。

ヴィオラ用の編曲は實川さんだそうで、さすがピアニストです。

ショパンの譜面にある(松葉型の)クレッシェンド・デクレッシェンドの解釈をレクチャーして、田原さんの腑に落ちた、といった話も聞けて、私まで勉強になりました。

演奏は圧巻でした。

實川さんのピアノが田原さんのうねるヴィオラと絡みあって、これぞ完璧なアンサンブル!

この演奏の1/10のレベルでいいから、自分も弾けるようになりたい!
と弱々しい思いがよぎるのでした…。

アンコールも終えて、終演後はお二人が見送っていただけるそうです。

密かに用意してあったのは、田原さんと毛利さんが演奏しているCDのジャケット。


ひと月前の毛利さんのこの場所でのリサイタルでサインをもらうとき、
「今度田原さんにもサインをもらいたいので、田原さんのスペースを空けてください」
という、
なんとも無遠慮なお願いをしまして、結果、少し歪な感じですが、無事田原さんと毛利さんのサインが並びました。

田原さんと毛利さんによる、
モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための
協奏交響曲が収録されています。


實川さんは、見た目そのままの好青年。
会話もスマートで、今日のお客さんの女性比率がとても高かったのは、そのせいかも。

私も彼のピアノ演奏と共に、すっかりファンになりました。

演奏家とはいえ、人格は大事ですからね。

プログラムにもお二人のサインを頂いて(ヘッダーの写真)、最後に記念にお二人の写真を撮らせてもらって会場を後にしました。

相変わらず、衝動だけが後押しした、まとまりのない文章ですが、私の感動が少しでも伝わっていたら嬉しいです。

それではまた!

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