天穹13紫闇

紫闇(シアン)は微笑みを零した。

Gを誇る宿屋の狸女将として装いつつ進めた計画がようやく結実を向かえる時が訪れる。

魔女を思わせるドレスから時折、禍々しい瘴気のようなオーラが湧き上がる不気味な雰囲気を纏わせてる。

ダンジョンへと結界を張る事にてモンスターが出て来ないように封じ、出入り出来る者へと制限を掛けた。

膨大な精神力を費やしたために全盛期の呪文を振るえなくなり、自ら率先して戦えなくなってしまった。

自分の娘が才能を受け継げず、戦える能力を持ち合わせなかった事が残念でも、サポートしてくれるし、外の子供達が戦えるために計画を続けられる。

ダンジョンの出入り口から延ばした道の左右へと必要な施設を設ける。周囲へと塀や堀を造り、容易く近寄れないように調える。

何時しか村と為った。

子供達へと戦える術を教える。威力的に使えなくても、見本を見せられるだけ増しと考えて憶えさせる。

必要性が高く、興味を持たせる手間が省けたために教え易い。

最低限の事柄まで苦労しなかった。必要な強さを得るまで時間を要する。装備品が揃うまでに達すれば良いために焦りを覚えない。

表情や仕種へと気怠さを漂わせてるためにやる気が無いと勘違いされてる。結界の維持へと魔力の大半を傾けてる事がもたらした影響と弊害。


朱火(シュカ)が叫び声を上げる。

振り返った視界へと倒れてる仲間の姿が入り込む。

紅蓮の炎を纏うスケルトンから攻撃を受けた訳では無い。

撃破した事を確かめて特化した装備だから戻ろうと思った隙を突かれた。

黄輝にて庇われた朱火だけが無事だった結果に過ぎない。

蠢く闇が跳び掛かって来た途端に朱火の意識が音を立てて途切れた。

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