紅28庵伊呂波(いろは)

「もたもたするな、行くぞ」

沸渦(ふつか)の不貞腐れたような声が聞こえて来る。

「急ぐ必要無いのに……」

珍しく欠伸を噛み殺す希望(のぞみ)が眠そうに呟き、朔也の肩にて支えられて何とか歩いてる。

見送ってくれる人達へと1人ずつ挨拶を行ってるために人数の多さから如何しても、時間を要してしまう。

姿を見せないのが立場を有する主とか弱き者を嫌ってる護衛の2人。

再び別れる事と為る杏紅(アンク)や遥香(ハルカ)と此方(こなた)の姉妹へと後ろ髪を引かれて離れがたい。

姉妹と別れを惜しみ、抱き合ってる事が面白く無いと思われる。

付いて来る方がトラブルを招くために致し方ない。

館の者達から好かれてる杏紅の状態へと姉である遥香の想いが報われない事が予想されて微妙な心境。

何時までも、涙を堪えて居られないために離れる。素直に涙を流せる此方が少しばかり羨ましい。

手を軽く振ってから前を向く。

近くの村を目指して黙々と歩く。浮き上がってる太い根が邪魔にて歩き難い事からペイスが遅くても、この辺りへと現れる獣や魔物なんて最早、一撃の元に倒せるために立ち止まらない。

素材が必要ならば朔也がハイド・シャドウへと沈める。

館が見えなくなり、村までもう少しと云う辺りにて行く手を阻まれた。


庵伊呂波(いろは)

探求心や好奇心旺盛な賢風属性。

回復特化型のグリーン・ヒーラー。回避へと優れてる代わりに攻撃手段を持ち合わせていない。

ヒール・トリート

ライフを思考力、或いは、精神力の値へと参照して70%回復。

スオード・スラッシュ

刃から衝撃波を放って狙った対象を斬り裂く賢風属性の剣技。威力や範囲が武器レヴェル依存。

風の凰舞(オーブ)

賢風属性向上効果。

応援がモチヴェイションへと繋がります。