姫矢御前01山吹桃楜

「今日から新しく赴任して来る先生へお任せして、私は休むよ」

朝食を食べてると紫の頭を掻きながら陽葵さんが現れて今更言われたところで何も行えない連絡事項を伝えて来た。朝まで何か行ってたためにサボるらしい。シャツの丈が長くて隠れてるとしても、何も穿いていない。向かい合って食卓へと着いてる事から水萌には見えていないとしても、呆れてる表情によって察しが付いてる様子。何も言わないために諦めてると思われる。余り長く視線を向けてると眼鏡越しに睨まれる。欠伸を噛み殺す陽葵さんが立ち去り、食べ終わると重ねた食器などをカウンターへと置く。シンクへと回り込んだ水萌が手早く洗う。

「ネクタイが曲がってるわよ」

直して来る水萌と顔を合わせられず、赤いリボンにて隠されてる胸元がアップと為る。身長差を否めない。リヴィング・ダイニングを後にしようと扉を開けたところで柔らかな何かによって顔を覆われた。頭が前後からサンドされた事で何かを知る。上を向けば呼吸出来る。

「急に止まらないでよ」

刺を有する水萌の言葉遣いから行く手を阻んでる相手が穂斑で間違いない。外にわざと押し付けて来る者なんて家にいない。押し退けようにも、頭越しに言い争いを始められる。穂斑と違って出なければ遅刻する事へと水萌が気が付かなければ終わらない。膝から崩れ落ちないように穂斑へとしがみ付く姿勢と為った。意図せず、穂斑を悦ばせると水萌の怒りを買う。取り合うように揺す振られると眩暈を覚える。


風へと靡くブロンド。幼さを残してる桜色の可憐な瞳。白いブラウスにオレンジのカーディガンとカーキのスカートを合わせてる。教壇へと立つ山吹桃楜先生が自己紹介を行ってる。可愛らしい顔立ちと反するプロポーションの良さへと見蕩れる。豊かなバストによって囲まれるとしても、桁違いのヴォリュームを誇る。転入生も居るらしくて紹介されてる様子でも、高まる鼓動によって耳を塞がれてるために何も聞こえない。興奮してる訳ではなく、また発作へと襲われたらしい。ネクタイを掴んで机へと伏せてしまう。慌ててるのは教壇の2人だけであり、後は普段通り。駆け寄って来る水萌の顔がアップに為ったところで視界が暗く為る。


魔王へと対するに当たり、装備の点検と準備を済ませる。パラメータを上げて最終決戦へと挑む。針山の上へと浮かんでる存在。金色の髪が燃え上がるように逆立ってる。黒い生地の左右をオレンジの生地にて挟むデザインを有する衣類で胸元を覆ってる。豊か過ぎるバストによって遮られて顔を窺えなくても、噂の信憑性が上がる。戦うべき対象が聖火属性である事へ対して驚く治療士。アビリティを観られない事と違い、想定外だった模様。魔王と呼ばれてるだけに過ぎず、本人が名乗ってる訳ではないために魔渦属性とは限らない。防御力の数値分を攻撃力へと加えるファイア・ガッツにて更に打撃力を底上げする格闘士。パラメータ的にパワーが劣ってる事を感じ取った様子。聖火属性へ対しては霊雹属性と魔渦属性が有効としても、チルド・ショットが使えないし、アビス・ショットでは格闘士との連係が取れない。クリティカルを有するエナジー・シザーでは属性的に劣る。同じ属性のバースト・エッジを用いるしか手立てがない。格闘士とタイミングを合わせてジャンプ。攻撃を交差させるクロス・スラッシュをヒットさせたのに手応えがない。全身を包むオーラによって弾かれてしまったらしい。トーリド・マールを噴石のように降らせて来る。魔法士が放つリキッド・マリンでも、打ち消す事がやっと。属性的に優ってるとしても、ランク的に劣ってるために無理もない。それでも、感心されたのか、間が空いた。火の精霊であるサラマンダーと契約を結ばなければ人の身で扱えないブレイズ・フレアを用いられてはリキッド・マリンでは意味を成さない。ストーム・スレイにて往なして直撃を避けるだけで手一杯。背後の治療士1人を護れば事足りる。残った治療士が自らの生命と引き換えに仲間を完全復活させる。止めるのも、聞かないで飛び出す格闘士が錐揉み回転にて突っ込む。クロス・スラッシュが効かなくては待つ必要性がない事も確か。左手にて押さえられて右手から放たれる光へと呑まれた。基本的に回復系統である王光属性による攻撃へ対して絶句する。しかも、松明代わりのエネルギー量しかないシャイン・ライトで消し飛ばされるなんて悪夢を観てるような光景。呪文を唱える事へと時間を掛けてる魔法士に後を託してサンダー・パイルを使う。素早さを攻撃へと重ねるために属性的な不利を考えなくて良い。勝てないとわかってるのに一矢報いたい一心だけで突っ込む。刀身を右手にて掴まれる。左手を向けられた事で手傷を僅かに負った事を知っても、格闘士の後を追う末路だけが変わらない。寸前にて左手の方向が変わる。魔法士が放つ見た事も、聞いた事もない呪法へと先に対処する様子。生み出された巨大な光が黒き影を掻き消すだけに留まらず、「我が最高傑作を物ともしないとは…」と呟く奥の手まで破られた魔法士の姿を覆う。雪の精霊であるスノウ・ホワイトとの契約が必要なコールド・スノウによって凍り付けにされる。属性の特性や強弱関係を無視した使い方に無謀過ぎた事を知っても、手遅れだった。指先にて弾かれただけで身体全体が容易く砕け散った。


悲鳴を上げると共に跳ね起きた。しかし、全身を駆け巡った衝撃の発した部分が違ってた。夢を観てたと安心する余裕がない。ズボンの内側から引っ張り出された代物が姿を隠してる。後輩である佳梨(かりん)によって根本まで含まれてる。手足を突っぱねる硬直が解けて動けるように為っても、飲み終えるまでは手放してくれない。奉仕を行う事を使命として感じてる佳梨が隙を見付けては口に含む。本人が理由を知らないために奇妙。気持ち良さへと負けて逃れられない。保健室のベッドである事へと気が付き、養護教諭を務めてる静葵さんから揶揄われると思った途端、周囲のカーテンが開いた。

「体力がないのに一部だけ元気よね」

顔を覗かせた静葵さんから桃楜先生が心配してたと伝えられる。引き継ぎの連絡へと入ってるはずでも、目の当たりしたら驚きを隠せないらしい。出しっ放しのまま佳梨が姿を消すと静葵さんが左手にて握って来る。白衣の前を開くとランジェリー姿であり、洋服とショーツを身に着けていない。元気の良さを確かめるように手を動かし、愛しそうに視線を落とす。ベッドに上がると腰を降ろして来る。呑み込まれるように包まれる。硬く為ってる間は身体の自由が失われるなんて厄介な体質。自ら処理出来ないために抜いてもらわなければ生活出来ない。

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