天穹04灰砂

肩を落として地べたへと座り込む灰砂(はいシャ)が溜め息を漏らした。しがない盗賊家業の成れの果て。

(如何してこう為ったのか……)

ケチの付き始めが【風の塔】にて負けた事。いや、凰舞(オーブ)なのか、竜珠(リュージュ)なのか、忘れたけど、集めるように怪しげな奴から唆された時点にて落ち目へと為る運命が決まってたらしい。

今と為っては調子へと乗ってた事が恨めしい。女官が多い【水の神殿】にて手下と共に思うまま暴れ回ってた事が懐かしい。

反撃の機会を窺いながら後を付けず、大人しく故郷へと帰れば良かった。

崩れ去る【黄金のピラミッド】にて生き埋めを覚悟。海原へと投げ出されて助かった。悪運が残ってたのか、時間を於かず、港町へと流れ着いた。

再起を図るために伝説の飛行船を探し求める。

掻き集めた噂や情報を元に辿り着いた小島の洞窟。

飛行船なんて見当たらず、代わりに大穴が口を開けてる。

ガセネタを掴まされたのかと膝から崩れ落ちる。

壁へと寄り掛かってると大きな刀剣を背負ってる赤髪が現れた。

同類が来たのかと首を傾げる。

穴を回り込まず、真っ直ぐに跳び越えて来た。着地した途端に地面へと亀裂が奔った。

嫌な予感しか浮かばない。

「またしても、落とされるのかっ!」

思わず、叫び声を上げて意識を手放した。落ち続ける人生を悔やむ。

気が付いて今へと到る。

通路みたいな洞窟にて倒れてた。一緒に落ちたはずの赤髪が見当たらない。立ち去ったのか、別な場所へと落とされたのか、判断が付かない。

己自身も同じように助けないために薄情とは思わない。

餓死して朽ち果てるのか、怪物にて頭から食われて終わるのか、当てもなくさ迷い歩くのか、良い加減、選ばなければ為らない絶望的な状況下。

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