姫矢御前07岩那佳梨

「ダムの放水があるから危ないわよ」

沢へと遊びに行きたいと穂斑が言い出す。不意な発言に驚きながらも、体力に自信が無い事を理由に断る。「歩けなくなったら、背負ってあげる」なんて返されると前のめりな態度へと圧されて折れる。考えが読めなくて戸惑ってると静葵さんの声が割って入る。咎めるつもりがなくて心配してる様子がカウンター・キッチン越しに伝わって来る。

「此方の川ならば放水がないわよ。車が要るけどね」

テーブルへと地図帳を広げた水萌が指差す。下流にて繋がってるとしても、ダムが在る方よりも上流であり、自転車を使っても遠い地点。穂斑が名前を呼ぶと訊かれる前に「買い物の予定だから無理よ」なんて静葵さんが連れて行けない事を告げる。陽葵さんは運転免許証を持っていない。これで立ち消えに為ったと思ってたのに桃楜先生が運転手役を買って出たために川遊びが行われる運びと為る。後ろから観たら郵便局のマークみたいになのに前がセパレート・タイプと思われるデザインを有するライム・カラーの水着を着けてる穂斑。今回のために新しく買った模様。スク水を纏う水萌のバストが納まり切らず、腕を通す部分へと紐で輪っかを作って首に掛けてる。ビキニ・トップとワンピースを合わせた胡桃も目的としては変わらないと思われる。日焼けを怖れる桃楜先生が岩場にて日傘を差しており、水着姿を拝めない事が残念なのかも…。

「2人だけだったら、水着なんて買わなかったのに…」

意味深に耳打ちして来る穂斑。褒めてくれない事が面白くないらしい。


領内へと攻め込まれた事により、守りを固めなければ為らず、更に部隊を動かす事が難しく為った。親衛隊と護衛部隊が強固に捜索を主張する。不在では存在意義が問われる親衛隊と汚名返上を試みたい護衛部隊が退かない。勝手に出陣されると却って混乱へと拍車を掛けるために許可するしかない状況。補給部隊として捜索に加わる事を取り付けた教官と共に呑んでる師匠と調教師。酔い潰れないかと心配してるのに魔術士の方は呆れ返ってる。先に休むと云う選択へは同感。部屋が別に用意されてた理由を室内にてメイドが待ち受けてた事で知る。早く眠りへと付いた方が良いのに折角の申し出を断れない。ベッドへと腰掛けて奉仕を受ける。パラメーターへと何か影響が及ぶとは思えず、純粋に楽しむ。


「穂斑ちゃん。もう直ぐ夕飯が出来るから水萌を呼んで来て」

キッチンから静葵さんの声が響いて来て口に含んだ液体を飲み下した穂斑が面を上げる。ソファにて動けないまま眼で見送る事しか出来ない状態。寝落ちしたら、何時の間にか、仰向けに寝かされてた。何が起きたのかわかっても、ほって置かれる事が辛い。

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