デルタ・マインド01憑依する無明

ベッドへと手足を投げ出してる麗しき妻へと覆い被さってる夫が叩き付けてた腰を止めて一気に注ぎ込もうと試みた瞬間、呻き声を上げて膨よかな胸へと顔を埋めた。放たれてる液体が体内へと広がって行く中、動かなくなる。

噴射が終わっても、動かないために流石に不安を帯びた妻が呼び掛ける。反応を示さないために声の音量が高まるに連れて掴んだ肩を揺さ振る。

押し退けられない以上、恥ずかしくても、助けを呼ばない訳にも行かなくなる。動かないまま葛藤が続く。

この時に受精を果たした第2児の誕生が波瀾を呼ぶ切っ掛けを成す。


呼び掛けられて我へと返る男性。見知らぬ少年が浮かんでる。灰色の髪と透き通るような白い肌。赤い眼が禍々しいだけで生気を感じられない。

周囲を見回しても、何も無い空間が何処までも広がってる。自らの身体が半ば透き通ってる。死んだ事を伝えられても、直ぐに理解出来ない状態。しばらくして「腹上死かよ」と呟くまで現状を受け入れられなかった。

「生き返らさせられないけど……」と前置きして、その代わりに誰かの肉体を乗っ取って一時的に戻れる能力を与えられた。対象が身近な者程、借り易いと思い出したように付け加えられた。


忽滑谷敬(ぬかりや・けい)

受け継いだ家業の銭湯を漫然と営む。友人知人を中心としたリピーターにて支えられてる。

人付き合いが良く、信用され易いお得な性格を有する。頼り甲斐を感じない顔立ち故に深い付き合いが少ない。モテるのに飽きられ易い矛盾が特徴的。

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