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予定をいれてから

免許をとらないといけない。


しかしわたしは特別免許が欲しいと思っているから申し込んだのではない。車に乗れることはこの先の人生で絶対に必要なスキルだと分かっているからだ。免許など取得せずとも車を運転してもいいならするかもしれない。しかしやっぱりそれは危ないのだろうと思う。自転車も免許を取得することが進められているらしいけどほとんどの人は免許を取りに行ったりしない。無免許運転だ。自転車と車は危なさのわけが違う。車は大きい四輪なのだ。YouTubeのサジェストには自動車事故に関するニュースがまれに出てくるがそれほど事故が多いのだろう。
自動車教習には学科と実技があるが、入所して二か月がたとうとしているのに一度も実技の講義を受けていない。これはすべて私の怠慢さによるものといっていい。やりたくないことは先延ばしにしてしまうが本当に期日が迫ったら死に物狂いで間に合わせるというのを十五年ほど続けてきた。しかし免許の実技に関しては講義日を自分で設定しないと実技を受ける日は永遠にやってこない。実技講義という恐怖と私の間にある扉をあけるレバーは私が握っている。このレバーを上げることは容易ではない。
自分の精神を守るため私は確固たる意志を持って講義日の設定をしないのだ。講義日の予約という恐怖におびえながら大江健三郎の『性的人間』を開く。おもえば夏休みの宿題に追われていた中学時代も普段読まない本を無性に読みたくなり時間を浪費していた。『性的人間』は一ページ目から6人の男女がドライブをしているシーンから始まった。この世界は移動を自動車に頼りすぎている。


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