管釣りノベル『レッツ！ぷあ～フィッシング！後編「激闘！トラウトクイーンカップ！」』

【主な登場人物】（前編後編共通）
金菜　品子（かねな　しなこ）
海なし県にある公立高校の三年生。貧乏だが明るく良い子。ひょんなことからグリーンに弟子入りする。

グリーン
自称「ファミリーフィッシングジャーナリスト」。反則系ルアーの使い手。品子の釣りの師匠となる。

オーナー
管理釣り場「プアレストガーデン」のオーナー。品子に親切にしてくれる。

ユッケ
グリーンの弟子のネズミ。経済面でグリーンと品子を助ける。ユッケの兄は独身釣り貴族。

富田　幸（とみた　こう）
品子の同級生。姉は人気アングラーズアイドル「みーみょん」だが、本人は釣りに興味なし。

豊川　加奈子（とよかわ　かなこ）
品子の同級生。グリーンのことを恩人だと思っている。大金持ち。富田幸にキャラと人生を変えられてしまう。

【主じゃない登場人物】（前編後編共通）
バンダナの似合うおじさん
品子の近所に住んでいるというバンダナの似合うおじさん。

鱒柿　陽子（ますかき　ようこ）
品子の担任。釣り部の顧問となる。富田幸の姉みーみょんとは釣り仲間。

レディース釣り軍団
品子たちと熱き戦いを繰り広げるレディースアングラー達。それぞれに痛い必殺技を持つ。

レッツ！ぷあ〜フィッシング！
後編「激闘！トラウトクイーンカップ！」

【トラウトクイーンカップ予選！】

品子達釣り部一行は静岡県にあるトラウトクイーンカップの会場へ向かっていた。その車中。

「みんな！いよいよトラウトクイーンカップ当日だ。昨日は興奮してあんまり眠れなかっただろう。せめて移動中だけでも眠っておくんだぞ。」

「グリーン師！私はぐっすり眠れました。その代わりに早く起きて河川敷をランニングしてました。大会で勝つために毎日続けてきたんですよ。」

「うん、まあ管釣りに体力は全く関係ないからな。よくトラウトフィッシングは『スポーツフィッシング』なんて言うだろう？『スポーツ』なんて言うくせにタバコを吸ったりコーヒーを飲んだり、はたまたビールなんてあおりながら釣りをする。そして結構中年太りの人もいることからも全くスポーツフィッシングとは言えないね。」

「幸ちゃんは眠れた？」

「アタシ達はちょっと寝不足かな。」

「『達』？そう言えば幸ちゃんと加奈子ちゃんは朝一緒に学校に来たね。家が全然逆方向なのに。」

「ゲフンゲフン！…早く着きすぎたから二人でコンビニに行ってたんだよ。コンビニで週間ヘラニュース買ってて…。」

「まあ追求はしないよ。むしろバレバレだしね。ところで鱒柿先生、あと何分くらいで会場に着くんですか？」

「あと３０分ぐらいかな。会場についたら開会式があるから準備しとけよ。ちゃんと覚えてきたか？大会テーマソングの『エターナルトラウト』。全員で歌うみたいだぞ。」

「私は家のリビングの５・１ＣＨサラウンドスピーカーで聞いてたけどなかなか良い歌ね。爺も執務中に口ずさんでいたわ。」

「最近デビューしたアイドルユニットが歌ってるやつでしょ？あの子達可愛いけど幸的にはなんだか心配だな…。だって自分達だったらどう？デビューがいきなり管釣りジャンルの曲だよ？会社的には全く先を見てないってことが明らかだよね。」

「そ、そんなことないだろう！全くの偏見だ！さ、さあ！会場に着くまで練習しよう！『エターナルトラウト』を！」

「(一同)レインボーな瞳に〜、一撃フッキングされた僕達〜、爆釣を見せてあの子を〜、オレカラに染め上げるのさ〜…」

貧乏釣り部一行は会場に到着した。

トラウトクイーンカップのエントリー総数は４５組。５月のゴールデンウイークで開催される大会であるため、やっぱり家族で旅行に行く、スギ花粉がまだきつい、朝起きるのがダルい、などの理由で５組が涙を飲んだ。

「さあ、まずは予選突破だ。作戦通りやれば予選突破も夢じゃないぞ！」

「グリーン師、本当にあの作戦がうまく行くんでしょうか？４５組中８組しか予選突破できないんですよね…？」

「大丈夫。それぞれに合った練習を続けて来ただろ。それを信じるんだ…！」

「…はい！」