島人ぬ宝 やさしさと厳しさと

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10年ぶりに西表島に足を運ぶ。計画は8月中旬に最終決断で、ちょうど沖縄県のコロナ感染拡大の深刻さが増していた時分。行くか行かぬか逡巡していたところに「#西表島 を思ってくるのも感謝、来ないのも感謝」と現地から連絡を受ける。現地のジレンマは私の迷いよりずっと大きい。その言葉で決めた。

滞在先から港へ向かう道中に小中学校がある。長年西表島に通う友人が「ここの学校の運動会に出たことがある」という話から、西表島の運動会の話になる。種目には町別リレー大会があり、おじー、おばーから小さな子供まで集落全員で構成されるものらしい。

リレーの組み合わせは、「中学生vsおばー」になることも。「おばー不利だよね」となるところが、西表では様相が異なる。中学生が敵方おばーの手を引きながら走ったり、おんぶしながら走るそうだ。そこには勝敗を賭けて相手の弱さに付込んで競うのではなく、まずは「お年寄りが走る」ことを考えられる気持ちが島人の中学生にはある。

本島と石垣島以外の島には高校がない。島人の多くは中学校を卒業したら、親元を離れていかなくてはならない。

5歳くらいの女の子がヒージャー(山羊)を飼い犬のようにリードをつけながら散歩させている姿を見る。地元の人に聞いたら、「かわいがっていてもそのうちそのヒージャーが自分たちの食料になるか、売られていくかはもう理解している年齢だ」と。

やさしさと厳しさと。都会に住み、忘れるどころか考えもしなかった何か大切なことを思い出させてくれるから沖縄に通い続けるのかもしれない。そう思った今回の西表島。



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