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プロトタイピングなるものをしてみた件について

事業会社(小売業)の法務担当として仕事をしている私ですが、8月から約3か月間ほど、プロトタイピングなるものに取り組んできました。この度、最終成果物を発表してその取り組みが一段落したので、自分自身の備忘の意味も含めて記事を書きます。

プロトタイピングとは

プロトタイピングとは、業務課題を発見し、デジタルを活用した解決策を実践・提案できる課題解決型デジタル人材を育成する取り組みです。
自社・自部署の業務課題を自ら見つけだすことができ、そこから自ら手を動かして具体的な解決策の1つ(プロトタイプ)をつくり現場で試す事で、デジタル化のきっかけを作ることができる人材を育成することをねらいとしています。

運営(プロトアウトスタジオ)

なお、今回のプロトタイピングは、勤務先の会社からプロトアウトスタジオという社外の業者に委託して運営されていましたので、プロトアウトスタジオのHPもご参照ください。

なぜプロトタイピングに取り組んだのか

個人的な理由

プロトタイピングに取り組んだ個人的な理由としては、デジタルに関するつけてリテラシーを上げたいと思ったからです。

業務上の理由

プロトタイピングに取り組んだ業務上の理由としては、デジタルツールによって勤務先が抱える諸々の課題が解決できそうな気がしていたからです。

勤務先が抱える課題について検討した過去記事はこちら。


プロトタイピングで作ったもの

上記のとおり、プロトタイピングは業務課題の解決のためにするものなので、プロトタイピングで取り組むべき業務課題を明確にする必要があります。

解決を目指す課題

勤務先にはいろいろな課題がありますが、それらについて考察した過去記事はこちら。

私としては「ナレッジの共有・蓄積がされていない」ということを最大の課題と考えてプロトタイピングを進めていくことにしました。

ナレッジとは

明確な定義はないのですが、ナレッジとは、企業などの組織にとって有益な知識、経験、事例、ノウハウなど付加価値のある情報のことをいいます。敢えてもっと簡単に言ってしまうと「仕事をするうえで役立つ情報」です。
法務の場合でいうと、例えば、過去に会社が経験した法的な紛争について、どういう事実関係だったか、適用される法令はどういうものか、参考になる判例や裁判例はどういったものか、対応や処理の手順はどうか、外部弁護士の助言はどうだったか、事業部に対してどのような助言をしたか、などといった情報のことをいいます。

先例集

ナレッジの共有・蓄積がされていないことを解決するツールとして、「先例集」というものを作成しました。
先例集とは、法務で取り扱った案件のうち、ナレッジとして共有・蓄積する価値のあるものを記録したものです。

詳細な情報はWORDに記録して共有フォルダで管理し、スプレッドシードにまとめた簡易版に適用法令やキーワードなどを記録してGlideというアプリにつなげます。そのアプリから案件を検索・抽出して簡易版の先例集を閲覧することができます。また、簡易版にはnoteというSNSにアップされた関連記事のリンクを記録していますので、弁護士など専門家が作成した記事をアプリから閲覧できるようになっています。
先例集の全体像です

取り組み全体の雑感

デジタルのスキル・リテラシー

いわゆるノーコード、ローコードで色々なものを作ることができることが分かった、実際にいくつか作ってみた、という意味では自分のレベルアップを感じました。とはいえ、一緒にプロトタイピングに取り組んだ方との比較でいうと、自分の制作物は技術的には物足りないレベルでした。今後も技術面でのレベルアップをしたいと強く感じました。

経験とマインドセット

一方で、プロトタイピングの経験自体は非常に有益だったと思います。世の中には本当にいろいろと有益なデジタルツールがあるということを知ることができたので、何かやりたいことができたときでも「これってツールが既にあるんじゃないか」と調べてみて、自分なりにいじってみて、分からないなりに使っている、というスタイルが身についています。ちなみに、今は無料の音読ソフトをいろいろ試して遊んでいます。
また、プロトタイピングの取り組みにおいて講師の方から「捨てるつもりで新しいものを作る」といった趣旨の話があり、これは仕事の種類を問わず使える!と思いました。
さらに、知見の共有、助けを求める⇔助けてあげるといったエンジニアの世界の文化・価値観の一旦に触れることができたのも、自分なりの収穫だったと思います。自分は何かにつけて(公私に亘って)独力でやり切ろうとしてしまうところがあるので、学びになりました。
こうしたマインドセットは今後も色々なところで活かせそうな気がしています。

補記

今回の取り組みで参考にした文献を挙げておきます。規模感のある企業で法務のお仕事をされている方、一人法務だけど会社が成長フェイズにあり今後は法務機能を拡充していこうと思っている方には、特におススメです。


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