保護者失格

小学5年生のゆうきは優しい両親の元で育った。 

しかしある日両親は マイチューブの活動を親子で始めることに決めた。 

そこで両親が一番最初に考えたマイチューブ のテーマが息子へのドッキリだった。 

息子へのドッキリの内容は、もしも自分以外の人たちが自分の存在を忘れたらという少し心ににグサッとくる内容だった。

両親は楽しみながらも動画を制作していた。 

一方の息子は自分がここにいるという証を探しながら街中を旅する。通ってた学校の同級生、近所の人、親戚、友達、自分がいた証を探すために。

しかし、だれに聞こうが「そんなやついたっけ?」っと、軽くあしらわれてしまう家に帰ってからも、「あなたは誰?」と話す両親に「息子だよ。」と伝えても相手にされず、家を出されてしまった。 

食事も与えられず、住宅街を彷徨う中、葛藤と絶望の合間に橋から飛び降りることを決めた。

そして絶望からの飛び降りようとした瞬間、後ろから押さえつけられた。

振り返るとそこには父親がいた。

そして母もいた。何しに来たのかと思えば、これは マイチューブ の企画でドッキリだという。

自分は安心したと共に、こんな壮大なドッキリをやるのかと。

金のためかと絶望した。
昔はこんな両親ではなかった。
優しい両親だと思っていた。

息子を金稼ぎの題材にするなど到底考えられなかった。

あれから数週間が経って
僕は部屋に引きこもっていた学校にも行かなかったあのドッキリが僕の心に風穴を開けてしまったみたいだ 。

ドッキリだと思ってもなかなかショックで辛かった。

 あの優しかった両親はどこにいってしまったのか。

自分たちが悪かったとの悪気を見せず次の動画ネタを考えていた。

なにせあの動画は良くも悪くも炎上して有名になったからだ。

 部屋に引き籠もる僕を 外の世界に引きずり出そうとしていた両親が僕にこう言うのだ 。

父:「これでお前も分かっただろ。ドッキリで学んだはずだ。 お前がこの世に生きる証を残さなければ、 人々に忘れられるんだ。わかったらお前は外に出ろ。 生きた証を残せ。」 

そう言われて僕は悲しかった 。そして 怒った。 

このようなことをしておきながら何も思わないのかとこれはある意味 虐待ではないだろうか、 僕は警察に通報したいぐらいだったそこで両親に本音をぶつけた 。

なぜなら自分の親だからだ 。ゆうき:「こんなことして恥ずかしくないのか 自分の息子を何だと思ってんだ自分の子供だぞ。物なんかじゃない。」

父:「お前は俺たちの所有物だ。俺たちがどう扱うと勝手だろ。」

僕は言葉を発することで、両親が反省してくれると思っていた。しかし帰ってきた言葉は違った。

全く反省の色を見せず、物だと言い切るのではないか。あの優しい親はどこに行ってしまったのだろう?優しいと思っていたのは自分だけだったのだろうか。 

ゆうき:「お前らなんて親じゃない。保護者失格だ。お前らのもとになんて生まれてこなければよかった。」

そう僕は言わざるを得なかった。両親が少しでも変わってくれることを願って。

しかし、父から返ってきたのはこういう言葉だった「そうか、保護者失格か。」

続けて父が言った「だってさ、保護者失格だって。みさき(母)どう思う?こいつ」

母:「残念ね。保護者失格とはなかなか辛いこと言ってくれるじゃない。今まで小学5年生11歳まで育ててあげたのは誰だと思ってるの?食費だっていくらかかったと思ってるの塾だって行かせてあげたじゃない?あなたの好きなものだって買ってあげたじゃない?」と母が言った。

父:「そうか、そう思ってんだったらもういいや。めんどくせー お前が思う保護者失格っていうのはどういうことかって言うの?これから教えてやるよ。」「とりあえずこっちに来い。」

ゆうき:「嫌だ。嫌だ。嫌だ。どこに連れて行こうって言うんだ。こうなったのはお前らのせいなのに強制するなんて」

父「いいから来い。」僕は部屋の外に出されたあとさらに家の外に出された。強制的に車に乗せられようとしたので、僕は抗った。「どこに連れてくつもりさ。僕は嫌だからね。」

だが、僕の反対をものともせず、強制的に乗せられた。しばらく車を走らされた後、両親たちが僕を連れ出したのは田舎にある橋だった。橋の上で車が止まった。僕は両親に聞いた。

「こんなとこに車を止めて山菜採りでもするの?」僕は両親に聞いた。両親は無言だった。すると車から降りた父は僕側のドアを開け、僕の腕を掴み引きずり出した。

「痛い痛い話して痛いよ。どうして無理やり引きずり出すのさ。」僕は引きずりだされた勢いで地面に転倒した。その際、頭に傷を負ってしまった。

僕は父に言った。「もうひどいな痛いよ。引きずり出さなくてもよかったのに。車からだったら自分で出るよ。」と言って両親を見ると両親の表情はおぞましいぐらいに怖い表情だった。

僕はその時悟った。こいつら僕を捨てるつもりだなと、思うのと同時にもしかして殺される可能性はあるのか?とも思った。

そう思った瞬間、そう思った瞬間に両親の顔を見たら鬼にも見えた。

これはやばいと僕は逃げようとした。「お前ら僕を殺すきだろ。親なのに、なぜ?なぜ?どうして!?」

ふうと呆れたように息を吐き、父は口を開いた「言っただろう。お前に保護者失格とはどういうことかを見せると。こういうことだ。」

「お前の保護者をやめる。しかし、保護者を辞めることなどできねえよ。だからなお前を消すことにした。逃げてんじゃねーよ捕まえてやるよ。どこまでもどこに行ったってな。」

そう言って僕を追いかけてきた。僕は必死に逃げた。死にたくない。生きたい。こんな奴らに殺されてたまるかと。

必死で逃げたが、僕は怖い形相の父親に捕まってしまった。母は車のとこで見守ってるだけだった。

そのまま橋のとこまで引きずられた。「やだやだ。死にたくない。行きたい。生きる方法はないのか?」しかし父は無言だった。

母も助けてくれる様子はなかった。僕は抱えられた。そして橋の川側に立たされた。もうおしまいだ。僕は絶望した。

今、父が手を離せば僕は川に真っ逆さまだ。僕は殺されてしまうのかと涙が出てきた。どこで間違ってしまったんだ、間違ってしまったんだろうか?この親の元に生まれてこなければこんなことにならなかったのに、あいつらのドッキリが原因なのに、なぜ僕がこんなことに マイチューブ があるからいけないのか?マイチューブがなければ、こんなことには。

僕が車に乗らなければ部屋に閉じ籠もらなければ僕が悪い子だったならば生きていけたんじゃないか。僕は後ろをチラッと見た。

勢いよく流れる川の高さは7m 、8m はあるだろうか。恐怖で足は震え今にも落ちてしまいそうだった。

僕は命乞いした。僕としては命乞いのつもりではなかったが、両親から見れば命乞いだっただろう。

僕は両親に頼み込んだ。「死にたくない。生きたい。もう悪いことはしない。勉強も頑張る。私立にだって行く。塾も習い事も頑張る。学校でも成績のトップを取る。大学だって頭いい学校に行くお金をたくさん稼ぐ稼いだお金をあげたっていい。」「だから、どうにか生きたい。生かしてほしい。もう一度僕にチャンスを欲しい。お願い!」

そう。頼み込んだ。しかし、両親は聞く耳を持たなかった。

「お前自分の言った言葉を忘れたのか、お前は馬鹿か!保護者失格って言ったよな。だったらその言葉の責任を果たせよ。お前が言ったんだろ。」「もうおせーよお前のわがままにも散々付き合ってやった。俺はもう疲れた。お前がもっと早くその言葉言ってたらお前は生きてたかもしれねえな。」

「じゃあなゆうきお疲れ。父は腕を離した。」

僕は生きたいがあまり必死に橋の手すりの付け根にしがみついた。しがみつけたことは幸運だった。だが、両親は悪魔のような形相をしていた。

「お前どんだけ生きてんだよ男なら潔く散れよ!」と言葉を放ち、僕が必死に捕む手を蹴り飛ばした。僕は痛さで離してしまった。

片手で捕まってる状態だ。僕はもう一巻の終わりだと再度絶望した。手が痛い。手が痺れている。自分の全体重が片手に乗っているのだ僕は涙した。最後のひと時まで涙した。

僕はもう恨みはなかった。それで僕は感謝を伝えることにした。

「今日まで育ててくれてありがとう。今日の朝までは幸せでした。部屋に籠ってはいたけれど、部屋に籠もっていた僕を優しく世話してくれた。

今考えれば、あの時でも幸せだった。それでも僕は悔やんでならない。マイチューブのドッキリが僕の日常を壊してしまったんだと思うと辛い。

僕はお父さんとお母さんが大好きだよ。こういうことをされても大好きだよ。もしこの後生かしてくれたとしたら、このことを、僕は警察に言わないよ。

父さんがこいつは絶対警察に言うと思っても僕は言わないよ。お父さんとお母さんが大好きだもん。

捕まったら困るもん、どんな親だろうと頼らないといけないからね。それが僕を育ててくれたお父さんとお母さんなら受け入れるよ。

どんなことをされても生かしてくれるなら。僕を殴ったって蹴ったっていいよ。食事を少なくされたっていい。生きれるならどんな辛いことも受け入れるよ。

だって、大好きなパパとママだから。誰に何と言われようと。僕の父さんと母さんだもん。

絶対父さんと母さんのことは裏切らないよ。僕は裏切られてもいいんだ。あの時の日常が戻るならばどうなったっていい。また家族みんなで旅行に行きたいな。

生きていれば何でもできるよ。だからね父さんも母さんも僕がいなくなっても幸せになってね。約束だよ。

たとえ僕を殺めた両親だとしても僕はもう恨まないよ。世間が恨んでも世間がバッシングしてもメディアが取り上げてもメディアがバッシングしても世界中のみんなが息子を殺した罪を批判しても。

だから最後のお願い。僕を殺してもいいから、僕のことだけは僕を殺したことだけは忘れないで

いや、違うね。僕が生きたかったこと、これも違うね。僕が生きてたことを忘れないでおいてくれたら嬉しいな。

ドッキリと違ってね。僕はここにいるよ。ここにいたよ。生きてたんだよ。そう、覚えていてくれたらそれでいい。僕がいたことを覚えててくれる人がいたらそれでいいんだ。

僕は幸せさ。今までありがとう。そして最後まで言葉を聞いてくれてありがとう。僕は幸せ者だね。こんなこんなこんな言葉を聞いてくれてさ。ごめんね。長かったね。時間を無駄にしちゃったね。

僕の手ももう限界だよ。もう感覚がないんだ。ごめん、もう落ちるよ。これがゲームの落ちるって意味ならよかったのに。

それが彼の最後の言葉だった。一瞬の間、彼の肉体から放たれた最後の衝突音が聞こえた。両親は最後の彼の姿を最後の言葉を聞いたり衝突の瞬間を見ることはなかった。彼が片手でぶら下がっているときにもう車に乗って行ってしまったのだ。彼は両親がいないにもかかわらず、その言葉を放っていたのだ。

彼の亡骸に近づく両親の姿、「全くお人好しなやつだな、俺たちが生かすわけないだろ。馬鹿だな。」そう言って父は息子の亡骸を蹴っ飛ばし踏みつけた。「お前のせいでイライラするなぁ!お前がいなければこうはならなかったのに。お前が亡くなったと考えたらなんか不快になったわ!カス。」


警察の捜査の末、ドッキリをしていた親子は世間から注目を集めた。ドッキリの動画で両親は炎上して時の人ともなった。しかし、息子を殺めたことは、噂としても事実としても広がった。警察と世間は怒りをあらわにした。捜査中もこんな両親の元になぜこんないい子が生まれたのか。動画の様子もどう見ても悪い様子ではなかった。どちらかというと秀才な方だった。ドッキリに途中で気づいた素振りも見せたが、それでも、誰にも違和感を与えない見事な演技力を持っているように思えた。彼は全てを知っていたのだろうか?悟っていたのだろうか。それは誰にもわからない。彼が死の瞬間にどう思っていたか?それは両親や本人にしかわからない。今回のケースでは両親が悪いように見えるかもしれないが、両親の異常さや動画サイトの存在など、現代にまつわる様々な要因が引き金となって起きた事件とも言える。優しかったと思われていた両親その両親がどう変わってしまったのか、どうしてそうなったのか?誰も知るすべはないだろうが、、、 

1つ言えることは、子供はわがままを言ってなんぼだ。子供が大人ぶる必要はないのだ。子供が子供で居れる。その世の中こそが重要なのかもしれない。

この物語に出てくる人物は全てフィクションです。

ここまでお疲れ様でした。

 

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