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これから投資を始めようとする人が知っておくべき安全に資産運用を行うためのガイドライン
昨今、コロナショックから立ち直りかけてきている経済を前に、お金に関する情報、特に資産運用に関する情報が世の中にあふれかえっているように思います。その情報を見て、「投資を始めたい!」と思う方々も増えてきているかと思います。
ただし、いざ始めようと思い立っても、ネットや、SNS、youtubeなどに情報があふれかえっており、またそれぞれ書いていることや言っていることが見る情報によってさまざまで、何を信じたらよいのか本当にわからない状況になっているかと思います。私自身もそうでした。
そんな混乱を経て、自分なりに色々調べて整理した結果である「これから投資を始めたいと考えている方」に一番最初に知っておいてほしい「安全に資産運用を行うためのガイドライン」を記載したいと思っています。
ここに書いていない投資を否定するものではありませんが、私達一般人のような「これから投資を始めたい」と思っている人が知るべき基本のキのような内容を目指して記載しています。
この記事で記載している内容は、私自身が投資を行うにあたり、さまざまな情報からかき集めて信頼できると感じた内容です。
結論的には一般的に言われている「インデックス型の投資信託を購入する投資方法」となりますが、具体的な条件も記載して、可能な限り機械的に投資できるように条件も含めてワークフロー化しています。
ただし、これから投資を始められる方にとっては、なぜこの方法で良いのか、納得がいかないこともあるかと思います。そのような方のために、ガイドラインの背景となる考え方についても記載します。
この記事で得られること
これから投資を始めようとされている方を対象に
安全に投資を行うためのガイドラインと
ガイドラインの内容の背景となる補足情報
この記事で得られないことについても記載しておきます。
- 投機的な活動に関するもの
- デイトレの方法
- 最速で億万長者になる方法
- これから上昇する銘柄などの情報
結論
この記事で書いていることの結論です。
経済的、気持ち的に耐えられる「含み損」の金額を想像しましょう
100円、1000円、1万円、5万円、10万円、・・・と含み損が発生している額を増やしながら想像してみましょう
「最大投資額」を「含み損額 ×2」と設定しましょう
例:耐えられる含み損額=10万円の場合は「20万円」
現在の貯蓄額から当面の生活費用を除いた「余剰金額」を算出しましょう
「投資スタイル」を検討しましょう
余剰金額>最大投資額であれば、一括投資スタイル
余剰金額<最大投資額であれば、積立投資スタイル
NISA口座を開設しましょう
手数料が低い(0.3%以下の)インデックス系の投資信託を選択しましょう
例:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
スタイルに合わせて選択した投資信託に投資し、放置しましょう
まずNISA口座に投資し、まだ投資できる場合は特定口座に投資しましょう
一括投資スタイルの場合、直ちに投資しましょう
積立投資スタイルの場合、余剰金額分を直ちに一括投資して、最大投資額に達するまで、すみやかに積立投資を開始しましょう
安全な資産運用のガイドライン
まず、初めに結論となるワークフローを記載します。これから資産運用を始めようとされる方は、このワークフローにそって進めて頂ければ、最小限の作業で、平均的な投資効果を得る確率を高めることができると考えられます。
安全上のご注意
ガイドラインの活用前に、安全上のご注意を確認してください。
警告
投資資金の調達のために、借金を行わない
レバレッジを活用した取引を行わない(破滅の原因となります)
注意
仕組みが理解できない商品に投資しない(損失の原因となります)
資産運用に時間をかけすぎない(家庭や本業など優先すべきことの時間を奪う原因となります)
投資は自己責任でお願いします(最終的にはご自身の判断での運用を心がけてください)
用語について
安全とは
再起不能になるような損失を被らないようにすることを目標とします
絶対に含み損を発生させないという意味ではありません
「長期間において放置しておいても問題ない状態」を指しています
平均的とは
市場で取引を行っている人々の平均的な利益を追求することを目指します
市場全体の時価総額加重平均をとった利回りを目指します
概ね、長期的にみて年5%~8%程度が想定されています
- 毎年この利回りを達成し続ける訳ではありません
- あくまで平均としてで単年で見れば乱高下しています
- 例えば、+9%、-12%、+15%、-7%、+9%・・・といったイメージでジグザグに右肩上がりしていくと想定してください
安全に資産運用を始めるワークフロー
それでは本編となるワークフローについて説明します。
投資を始める前の準備編、商品を購入する購入編、購入後の運用中における見直し編で構成しています。
準備編
投資スタイルを検討します
毎月の生活費の概算を確認します
生活防衛資金(生活費の約1年分)を計算します
現在の貯金残高を確認します
現在の貯金残高から生活防衛資金を差し引いた余剰金額を確認します
余剰金額(生活防衛資金以上の貯蓄)のあるなしで投資スタイルを確定します
余剰金額がある場合 → 一括投資スタイルとします
余剰金額がない場合 → 積立投資スタイルとします
運用資金を検討します
精神的、生活面的に耐えられると思われる含み損額(リスク許容度といいます)を検討します
最大投資額を「リスク許容度の2倍」に設定します
※例えば、「50万円の含み損」が出ている状況を想像して、しばらくは売らずに耐えれそうだと感じたなら最大投資額は100万円となります
投資金額を検討します
「一括投資スタイル」の場合、最大投資額を上限とした全額とします
「積立投資スタイル」の場合、生活防衛資金まで貯蓄をまず完了させます。その後、最大投資額に到達するまで毎月の貯蓄額全額を積立投資します
※先の例の場合、余剰金額が100万円以下なら余剰金額を全額、余剰金額が100万円以上ある場合は100万円投資に回します
口座を準備します
これで準備は完了です!
購入編
購入商品を検討します
以下の条件となる株式インデックス型の投資信託を選択します
売買手数料0円、信託財産保留料0円、信託報酬が0.3%以下
投資対象が時価総額加重平均方式を採用しているインデックス
主に先進国の企業に対して広く分散された株式商品
為替ヘッジなし
2022年現在でこの条件を満たしている商品の例は下記となります
商品を購入します
「一括投資スタイル」の場合、直ちに検討した投資金額を一括購入しま
NISA口座で年間120万円分まで購入します
120万円を超える分について、特定口座で一括購入します
「積立投資スタイル」の場合、直ちに検討した積立投資額の積立投資設定をします
NISA口座で年間120万円分まで積立で購入します
NISA口座の枠を使い切ったら、残りを特定口座で積立購入します
これで購入作業は完了です!
見直し編
原則的に、見直しを行う必要はありません
購入したら、そのまま放置してください
頻繁な残高確認などは行う必要はありません
年に1回程度、預金口座と投資口座を確認し、下記を確認してください
生活防衛資金が生活費約1年分を下回っていないか
投資金額が「現在のリスク許容度」の2倍を超えていないか
もし、上記のバランスが崩れていたら下記を行ってください
生活防衛資金が生活費約1年分以上になるように投資金額を一部解約
投資金額が「現在のリスク許容度」の2倍以内に収まるように一部解約
ケーススタディ
下記のようなモデルケースを想定します。
夫婦二人暮らし 共働き
世帯収入 50万円
毎月支出 30万円(=毎月貯蓄20万円)
現在の貯金額 1000万円
準備編により下記のようなスタイルが設定されます
生活防衛資金 = 30万円×12 = 360万円
余剰資金=1000万円 - 360万円 = 640万円
「1年で貯蓄できる金額なら含み損がでてもよい」と考えたとします
リスク許容度=月々の貯金額の1年分=240万円
最大投資額 = リスク許容度×2倍 = 480万円
余剰資金>最大投資額のため、「一括投資スタイル」で投資します
購入編より、例えば下記のように購入します。
480万円を直ちに一括投資します
NISA口座→特定口座の順で購入します。
夫のNISA口座に120万円分 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を購入
妻のNISA口座に120万円分eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を購入
夫の特定口座に240万円分eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を購入
見直し編より、下記のような作業を年に1回~数回行います。
夫と妻の預金口座の総額をチェックして生活防衛資金が貯蓄されているか確認します
1年経過したため、生活防衛金に加えて120万円の余剰金があるとします
夫と妻のNISA口座、特定口座の総額をチェックします
利益が出て500万円になっていたとします
「現在のリスク許容度」を見直します
もともとは240万円でしたが、投資の利益が出た上に、生活スタイルも変わっていないため+60万円程度はリスクをとってもよいと思うようになったとします
新しいリスク許容度 = 300万円
新しい最大投資額 = 600万円
新しい最大投資額の範囲内で余剰資金から投資信託へ移します
銀行口座から投資信託へ100万円移して600万円を新たに運用します
これで、安全に資産運用するためのガイドラインは終了です。
ガイドラインの背景となる考え方
ここからは、上記のガイドラインの背景となる考え方について記載します。「なるべく安全に資産運用を始めたい」だけという場合には、すぐには必要となる知識ではありません。
それでも記載している目的は、ガイドラインの背景となる考え方について理解していただいたうえで納得して安全に資産運用を行って頂きたいと考えているためです。
資産運用を長期で継続していくためには、再現性のあるルールを淡々と一貫して守りぬいていく必要があります。ところが、これが簡単にはいかず、数々の邪念に振り回されてしまいます。
一定の知識を保有しておくことが、最大の防御となり、継続の力の源ともなると思います。そのため、ぜひご確認いただき、共感頂いた上で、安全に資産運用を行って頂ければ幸いです。
なぜインデックスファンドの投資信託で良いのか
安全に投資するための大原則は「無借金」で「分散」して投資することです
リスクを抑えながらリターンを高めるためには、できる限り広範囲に分散して投資するべきです
対象国、対象セクタ、対象銘柄を可能な限り分散して投資することが推奨されています
「警告」にも記載した通り、借金をして投資資金を調達することは非常に危険です
レバレッジ(証拠金取引)は借金をしている感覚になりにくい点が注意が必要です
この条件を満たしながら、資産運用することが安全面において非常に重要です
理論背景
現代ポートフォリオ理論
投資先は原則、時価総額加重平均型指数を採用した株式インデックスファンドの投資信託1本のみで問題ありません
現在売買されている時価総額加重平均型の指数をベンチマークに採用しているインデックスファンドは、それ一本で非常に広範囲の銘柄に分散されています
インデックスファンドのベンチマークとなる指数の例
S&P500 : 米S&P社が選出した米500社を対象とした指数で米国株式市場全体の時価総額の約80%をカバー
ACWI:米MSCI社が算出する世界株式を対象とした指数で先進国と新興国の株式の時価総額の約85%をカバー
そのため、分散効果を高めるために複数の商品を購入する必要はありません
また、過去の教科書的なポートフォリオである「株式+債券」を参考にすることには理論的裏付けはありません
2022年現在の世界的な低金利状態では債券は金利上昇による価格下落リスクを含んでいます
超低金利のため債券のインカムゲインは、ほぼ期待できません
※銀行のペイオフ対策として1000万円以上を超える預金がある場合に、溢れた金額分で「個人向け国債」を購入することは有効な手段と考えられます。
分散効果を高めることに寄与しないため、下記の投資先は必要ありません
アクティブファンド
テーマ型ファンド
個別株
右肩上がりに成長すると前提できないため、下記の投資先は必要ありません(手数料を考慮するとマイナスサムゲームになります)
仮想通貨
FX
商品(原油、金、銀、銅、プラチナなど)
借金を前提するため下記の投資先は必要ありません
FX
先物取引
差額決済取引
その他、複雑な商品など仕組みが不明な投資商品
下記は検討の余地はありますが、原則は不要です
REIT (Jリート、先進国リート)
ETFか投資信託で迷う場合は投資信託で良いと思います
資産運用で何を重視するかは議論がありますが、これから投資を始めようという方にとっては購入や管理の利便性を重視することをおすすめします
円建てで購入できること
分配金の再投資設定が自動でできること
積立設定が自動でできること
金額指定ができること
これらを重視するなら、投資信託で良いと思います
ETFは売買手数料が発生します(証券会社によっては無料の商品を用意しているものもあります)
ETFは配当金が必ず支払われます(その際、課税されます)
ETFは再投資は手動で行う必要があります。
億単位の一括投資など非常に高額な投資額となる場合はETFを検討する価値はあると思います
ETFの方が信託報酬が低く設定されています(ただし、その差は僅かです)
ETFはリアルタイムに市場価格で売買可能です
投資信託は買付、売却に通常1~2営業日かかります
投資信託の基準価格は1日1回のペースで決定されます
インデックスの指数算出は時価総額加重平均が効率的と考えて問題ありません
時価総額加重平均インデックスは理論的根拠があり、理論上、最も効率的なポートフォリオとなります
理論上はいかなる市場参加者もこのポートフォリオ以上に効率的な運用はできないことになっています
当然、理論には前提条件があり、現実はこの前提条件通りではないため理論と現実には乖離があります
ただし、より有効と考えられる指数算出方法も確立されていないため、乖離を理由に別手段を取る必要もないと考えます
時価総額加重平均方式の欠点を補うために、売上高、キャッシュフロー、利益などの指標から算出するファンダメンタルインデックスというアプローチもありますが、商品数や手数料の観点から、現時点で進んで選択する必要はない思います
理論背景
資本資産価格モデル(CAPM)
なぜすぐに一括投資で良いのか
一括投資は合理的な戦略です
これから投資を行おうと考えている対象(株式インデックス=世界経済)は下記のような性質であると前提しています
短期的には乱高下しながらも、長期的には右肩上がりに成長する
各瞬間の株価はその時点において適性な価格(安くも高くもない価格)として市場で形成されている
投資のリターン額は、「市場に置いた金額」×「投資期間」で決定されます(銀行預金と同じ考え方です)
リスク許容度の範囲内でなるべく多くの金額を、早く市場に置くことが最も合理的な戦略となります
購入タイミングを見計らう必要はありません
長期、短期に関わらず、値動きについては予測することは非常に困難です
定性的な理由として、株価は非常に多くの要因によって決定されるうえに、要因の中には偶然性を伴うものも含まれるため予測することは非常に困難です(例えば、自然災害なども含まれるでしょう)
短期になればなるほど、市場参加者の意思決定の独立性が高くなり、値動きのランダム性が高まります
そのため、「安く買って高く買う」ことを継続的に狙っておこなうことは原理的に困難です
一般的に、株価には向こう2年程度の全ての情報が織り込まれており、常に適性価格と考えられます
また、本来、投資を行う対象は「値動きが上下しながらも長期的には成長していく」ことを期待しているはずです
よって、リスク許容度の範囲内のはずであれば、直ちに投資するのが合理的です
理論背景
ランダムウォーク仮説
効率的市場仮説
投資の効率性はシャープレシオで評価します
シャープレシオは投資の効率性を測る指標です
「リスク当たりの超過リターン」のことで、リスク値(標準偏差)÷ リターン(利回り)で定義されます
この値が高いほど、「取ったリスクに対して高いリターンを得られる」ことを意味します
平均的な利回りが同じ商品の場合、シャープレシオが高い商品を選ぶべきです
ドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging : DCA)を採用する必要ありません
まず、DCAに「リスク低減効果」はありません
投資リスクは「(ある時点で市場へ投資している総額)×(資産の変動率)」で決まります
その資産額まで「どのような方法で積み立てたか」は無関係です
一括投資に対してシャープレシオの改善にも寄与しません(投資先商品が同じため)
DCAはまるで「リスクが低減されているかのような錯覚」効果を与えるため逆に危険です
時間が経過するにつれて、積み上げられる額が大きくなりリスクが拡大していきます
リスクを後回しにしているだけ、と考えることができます
しかしながら、「リスクを低減している」と錯覚しているため、「リスク許容度を超えていること」を隠してしまう可能性があり弊害にもなりえます
DCAが有効に感じる理由は心理的な側面が大きいです
「投資した瞬間に暴落しないか」という不安を打ち消してくれる効果によるものが大きいです(現状維持バイアス)
DCAは投資額に年次ごとの偏りが発生し、リスクの分散が一括投資に比べて低下します
投資期間の後半において下落相場になった場合、一括投資に対して不利となります
投資開始後、どの時期に上昇する、又は下落すると想定することは非合理的です
ドルコスト均等法が有効に感じるということは、その投資額があなたのリスク許容度を超えている可能性が高いです
一括投資してもよいと思える額まで投資額を減額することを検討すべきです
「積立投資」はドルコスト平均法とは全くの別物で、有効な投資方法です
DCAは「投資に回しても良いと考える資金を保有していながら、あえて時分割で少額ずつ投資する」方法です
積立投資は、「投資に回しても良いと考える資金を保有していないため、その月々で投資に回しても良いと考える資金を一括投資し続ける」方法です
まとまった資金を持っているか、そうでないかで行動の意味合いが異なります
感覚的に理解するための思考実験
あなたは1000万円の投資をするために一括投資か、ドルコスト均等法で投資するか悩んでいるとします。
1000万円という大金を一括投資するのは怖いため、毎月10万円ずつドルコスト均等法で投資するのが良い気がしています。
ここで「もしあなたがビルゲイズでだったら」と想像してみてください。
あなたの手元には数兆円近くの預金があります。
預金のままにしておくのはもったいないと考え、投資信託の購入を検討しています。
ビルゲイズである「あなた」でも、元々のあなたと同じく、「一括購入はリスクがある」と考え、毎月10万円ずつの投資が合理的と考えてドルコスト平均法で投資を始めるでしょうか。
明らかにビルゲイズであるあなたの「リスク許容度」に対して毎月の投資額が少なすぎます。
一般人にとって1000万円は大きな額ですが、ビルゲイズにとっては微々たる額です。
この「大したことのない額」を決めるのは各個人のリスク許容度となります。
100円を投資するのに、1円ずつ時分割して投資するかということと同じ感覚です。
そのため、リスク許容度の範囲内の金額にもかかわらず、わざわざ時分割して投資する必要は全くありません。
参考
Dollar Cost Averaging vs. Lump Sum Investing (DCA vs. LSI)
なぜ購入後は原則放置で良いのか
暴落は悲観的に見積もって-50%程度と考えてよいと思います
「リスク」とは投資先の変動の大きさ(変動の標準偏差)のことを指します
「投資のリスク」は「(現時点で株式市場に晒している総額)×(変動の大きさ)」となります
平時においては、年±10%程度、少し大きめの変動でも年±20%程度で見積もってよいと考えられます
リーマンショック級の暴落で最大50%の含み損が発生する可能性があります
利益確定を考える必要はありません
投資活動は生涯継続するものです
すでにリスク許容度の範囲内で投資をしているので、放置で問題ありません
利益を確定する(株式を現金に移す)のは、「資金が必要な時」と「バランス調整の時」のみで問題ありません
損切りを考える必要はありません
時価総額加重平均型のインデックスファンドに投資をしている場合は下記のように考えて問題ありません
資本主義、金融政策が機能している限り、広く分散した時価総額加重平均型のインデックス投資に含み損が発生しても、いつか必ずもとに戻ると想定して問題ありません(先進国であれば、この仮定は十分現実的と考えられます)
ましてや、その価値がゼロになる心配は不要です
そのため、損失を確定する行為である「損切り」を行う必要はありません
すでにリスク許容度の範囲内で投資をしているので、含み損が出ても放置で問題ありません
なぜ分配金再投資でよいのか
配当金を受け取る必要はありません
投資期間中において、配当金は全額再投資が税制面で有利です(課税繰延効果)
生活資金は用意できているため、資産を削って資金に移す必要はありません
定期的な収入源として配当金を得たい場合は定率年間4%未満で投資信託を一部解約すれば問題ありません
お金が必要になれば、運用成績に関係なく躊躇なく取り崩せば問題ありません
なぜヘッジなしファンドでよいのか
為替ヘッジをかけてもリスクは残ります
為替ヘッジをかけてもリスクがなくなることはありません
為替ヘッジは為替変動リスクを金利変動リスクに変換するテクニックです
為替ヘッジコストは近似的には「対象国通貨の金利 - 自国通貨の金利」となります
円のような低金利の通貨はヘッジコストが高くなり運用に不利です
為替の変動率は株式の変動率に対して一般に影響が小さいため無視しても良いと判断できます
為替と株式のように二つの変数の分散は単純な足し算にはならず、以下のようになります(外国通貨建ての株式の変動率と為替の変動率の共分散が小さいと仮定した場合)
![](https://assets.st-note.com/img/1655743957796-Uzf172QPzo.png?width=800)
株式の変動(標準偏差)が15%、為替の変動が10%とすると上式により、自国通貨建ての株式の変動率は約18%となり、為替の変動は実際は3%程度しか影響は与えないことになります
なぜNISA口座を優先するのか
NISA口座は最大限活用することで税制面で有利となります
通常、株式の売却益(譲渡益課税)、及び配当金(配当課税)に対しては、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%が課税されます
NISAは毎年一定額以内で購入した金融商品の利益に対するこれらの税金が5年間非課税となる制度です
そのため、NISA枠から順番に埋めていくと最大限の節税効果が得られます
企業型確定拠出年金(DC)にはいくつか注意点があります
企業型DCは税制面の優遇があり解約に制限もあることから「放置」しやすく、原則的には活用すべき制度です
ただし、企業型DCは転職時に原則全商品を解約する必要があります
含み損を抱えていても通常であれば放置できるところ強制解約となっていまい損失確定するリスクがあります
企業型DCで扱われている商品は比較的手数料が高額なものが多いです
信託報酬が0.8%~1.5%程度の商品が多い印象です
インデックスファンドが用意されていないケースもあります
良い制度ですが運用上、柔軟性に欠ける面もあるため、下記に注意して検討してください
転職する可能性がある場合は、損失確定を見越して、通常よりリスク許容度を下げて購入する
制度上可能であれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)への移換を検討する
その他
テクニカルチャートは参考にする必要はありません
テクニカルチャート分析の手法は理論的な裏づけがあるものではありません
現在のところ、占いのようなものと割り切ってよいと思います
負債を抱えている場合は、返済を優先させることが有効です
住宅ローンのような巨額な負債を抱えている場合は、返済を優先する方が合理的です
株の値動きの原理を理解することは投資を継続する力の助けになります
株価は「企業の将来予想利益の割引現在価値」と考えることができます
簡単には「将来のキャッシュフロー」÷「金利」となります
「金利」の中身は、「リスクフリーの金利(預金などの金利)」と「リスクプレミアム(投資家がリスクを取る見返りとして享受したいリターン)」に分解されます
リスクプレミアムが上昇すると株価は下落します
リスクフリー金利が上昇すると株価は下落します
要するに金利が上がると株価は下がります
そのため各国のマクロ金融政策の影響を受けます(金融引き締めなど)
定性的な理由
リスクフリーの金利が一定以上になれば、わざわざリスクを取って株などを購入する人が減るため株式市場からマネーが流出します
マネタリーベース(貨幣数量)の影響を大きく受けます
マネタリーベースが増えると
株価は上昇します
増やした通過の通貨安に振れやすくなります
インフレ期待が加速します
指標の例
消費者物価指数(CPIコア指数/コアコア指数)
ブレイクイーブンインフレ率(BEI率)
長期金利は減少します(=債権価格は上昇します)
実質金利 = 名目金利 - 期待インフレ率
定性的な理由
貨幣数量が増えると貨幣価値が下がり金余り状態になります
余った貨幣が株式市場、債券市場に流入し、価格を上昇させます
理論背景
ワルラスの法則
マネタリーアプローチ
カントリーリスクや分散の観点から米国株式より全世界株式の方がより安全であると考えられます
投資先を米国(S&P500)にするか、全世界株式にするかは、ほとんど差はないと考えてよいと思いますが、個人的には全世界株式が良いと考えています
基本的には米国株だがS&P500が明らかに割高だと感じる場合は、世界株式を検討する、なども一つの戦略かと思います
S&P500が割高かどうかの判断としてS&P500のPER(S&P500 PER)と長期金利(米10年国債金利)の関係を見る方法があります
S&P500 超過CAPE 利回り (Excess CAPE Yield)
S&P500の利回りが米10年国債と比較してどの程度リターンが大きいかを表す指標です
この値が大きいと、S&P500が割安、低いと割高ということを意味します
特に0%を下回ると、リスクフリーの米10年国債の方がリターンが良いことを意味します
インフレターゲットを達成しても戦略を変更する必要は問題ありません
米国は2020年8月以降において「長期的にわたり平均2%のインフレ率の達成を目指す」政策を進めています
他の先進国もおおむね同様の目標を掲げて金融政策を行っています
インフレターゲットへの到達(及び失業率の一定以下の達成)が認められると、中央銀行は過熱した経済の爆発を防ぐために金融引き締め政策へ舵を切り始めます
これにより、株式市場や債券市場へ流れる貨幣数量が減ることが予想され、株価や債券価格の下落(金利の上昇)の要因となります
ただし、中央銀行が金融引き締めを行うということは、今後の経済成長に対して自信を持っているともみることができます
そのため、一時的な乱高下はあるにせよ、リスク許容度の範囲内で投資を行っている分にはインフレ時においても基本的には放置で問題ありません
理論株価はインフレ率の影響を受けません(名目金利と名目成長率の中に含まれるインフレ率同士で相殺されます)
![](https://assets.st-note.com/img/1655743883404-3KwxdGHdzY.png?width=800)
米国を含む先進国の多数において金融政策は概ね正しく運営されることを前提としています。これは現実的な前提だと考えられます
金融相場→業績相場→逆金融相場→逆業績相場のサイクルを繰り返し、成長していくことを前提として良いと思います
まとめ
今回の記事では、投資をこれから始めようと考えている方々に対して、安全に資産運用を行えるようにするためのガイドラインを記載しました。
最速で億万長者になれるような方法ではありませんが、再現性高く平均的なリターンを得ることができる方法論になっているかと思います。
投資は自己責任となりますが、安全に注意しながら実施することで社会への貢献にもつながりますし、自身の資産の保全にもつながる活動かと思います。一人でも多くの方の参考になればと思います。
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