小説: ペトリコールの共鳴 ⑯
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第十六話 愛しの遥香 ②
遥香を愛していたから隙だらけになったのか、依存する対象がなくスッカスカになったのか、両方同時に訪れたのでどっちもだ。
じゃ愛羅についてどうだったかというと、愛というより冷静に考えて執着心だと思う。
監禁され、裸のままマンションの路地裏に投棄された俺は、愛羅へ憎しみが湧かなかった。
愛羅も騙されて俺とは別の場所へ監禁されているに違いない。
「早く助けに行ってやらねば」
気持ちが焦ったせいか、汚物塗れの身体にそのまま服を着て急いで部屋へ戻